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【深層リポート】群馬発 岐路に立つ富岡製糸場 新たな可能性 コロナ後に期待

見学者の姿もまばらな富岡製糸場の東置繭所=1月14日、群馬県富岡市(椎名高志撮影)
見学者の姿もまばらな富岡製糸場の東置繭所=1月14日、群馬県富岡市(椎名高志撮影)
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 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されてから7年、「富岡製糸場と絹産業遺産群」が岐路に立たされている。見学者を集めてきた製糸場も年々、数を落としてきたが、新型コロナウイルスの影響でさらに激減、維持費などを賄ってきた見学料の落ち込みで、管理運営する富岡市の一般財源から初めて繰り入れる事態になった。

今は耐えるとき

 富岡製糸場の見学者数は、登録された平成26年度の133万人をピークに少しずつ減少を続け、今年度は「想定50万人」まで落ちていたが、コロナ禍で「22万人」に修正せざるを得なくなった。見学料収入も3億5600万円から1億4500万円に減り、一般財源からの繰り入れは1億3千万円になる見通しだ。

 同市では維持管理費に充てるため見学料の一部などを積み立てた基金も持っているが、ピーク時には9億円超だった残高は今年度末に1億円を切るという。

 本来、五輪開催年でもあった昨年は起死回生を目指す年だった。総額35億円、5年余をかけハウスインハウス手法による保存整備工事を施した西置繭所のグランドオープンは、10月3日。パラリンピック閉幕から1カ月後のはずだった。

 富岡製糸場では、西と対をなす東置繭所、繰糸所の3つがメイン施設(いずれも国宝)で、西の工事終了後、東、さらに繰糸所と整備を進め30年後には全施設の整備を終え、魅力的な世界遺産へと変貌させていく計画だった。

 しかし、収益減や基金残高の減少などから、榎本義法市長は「当面、新規の保存整備工事には取りかからない」と明言し、「ここは耐えるしかない」とコロナ禍の収束する日を待つ構えだ。

「さまざまな種」発信

 わずかだが、希望もある。国内での感染が騒がれ始めた昨年1月と2月、富岡製糸場の見学者が連続して前年の数字を上回ったのだ。初めてだった。これという特段の理由があるわけではなく、だからこそ「底を打ったという手応えを感じた」(市世界遺産観光部の森田昭芳部長)。

 3月以降、猛威を振るったコロナが恨めしかったが、「いずれは収束する。教育旅行の誘致やインバウンド(訪日外国人観光客)にも再び力を入れて、見学者50万人を実現させる。決して難しい数字ではない」と強気だ。

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