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ダム建設、知事決断は 豪雨被災後強まる推進の声 熊本

川辺川ダム建設による水没予定地周辺=熊本県五木村
川辺川ダム建設による水没予定地周辺=熊本県五木村

 ダムは必要か、否か-。熊本県にある球磨川流域でのダム建設の是非をめぐり、蒲島郁夫知事の決断に注目が集まっている。国は、甚大な被害をもたらした7月の豪雨の際、支流の川辺川にダムがあれば浸水被害を「約6割減らせた」との推計を公表し、流域首長はダムを柱とした治水対策を要望した。蒲島氏は年内にも方向性を示す方針で、住民や関係団体の意見聴取を続けている。

 「ダムは選択肢の一つだ」

 蒲島氏は8月の記者会見でこう述べ、自身が掲げてきた「ダムによらない治水」を事実上転換した。昭和41年に国が発表したダム計画で、賛成派と反対派が長年対立。蒲島氏は初当選した平成20年、計画に反対を表明、翌21年、当時の民主党政権が中止を決めた。

 その後、県と国、流域自治体はダムの代替として、遊水池や堤防かさ上げなどを検討してきた。ただ、事業費1兆円以上、工期100年超の事業案もあり、方向性がまとまらない中で豪雨が流域を襲った。

 豪雨による県内死者は65人、人吉市や球磨村など流域の浸水戸数は6千超に上る。村内の仮設住宅に暮らす無職男性(87)は「気候変動が激しい。ダムがあれば安心できる」と話す。男性は豪雨後、ダムの必要性を感じるようになったという。

 財界からは、蒲島氏がダム計画に反対した経緯に触れ「ある種人災の面もある」(ゼネコン幹部)との声まで出た。

 国は豪雨の際、仮にダムがあれば球磨川の水位は1~2メートル低下し、人吉市や球磨村の一部で浸水範囲が約6割減少したとの推計を10月に公表した。反対派の市民団体が「流量の想定が過小だ」と批判する一方、推進派の錦町の森本完一町長は「ダムの必要性が立証された」と勢いづく。

 建設の是非に濃淡はあるものの、流域12市町村の首長は知事に連名でダムを柱とした治水対策を要望した。首長の中には、平時は水を流し、大雨の時だけ貯水する「穴あきダム」なら「環境負荷が少なく、住民の理解を得やすいのでは」との声もある。

 国の推計に加え、県議会は容認派が多数を占める。一方、流域住民には「清流を守りたい」「ダムでは水量を調整できない」との反対意見は根強い。賛否で再び地域が分断されるとの懸念もある。「全員を100%満足させる治水対策は難しい」と胸中を吐露する蒲島氏。残りわずかな期間で、重い決断を迫られている。

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