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【しずおか~このひと~】認知症の立場で発信「県希望大使」・三浦繁雄さん(63) 高齢社会でイメージ変えたい

 高齢化進展に伴って認知症の増加が見込まれる中、社会の理解を深めてもらおうと、当事者の立場で情報を発信する「県希望大使」に、軽度認知障害の三浦繁雄さん(63)が任命された。啓発活動や認知症サポーター養成講座で自身の体験などを伝えながら「認知症と診断されても、前向きに生きていってもらいたい」と語る三浦さんに、抱負などを聞いた。 (岡田浩明)

 --厚生労働省は、令和7年に認知症の高齢者が約700万人に増えると推計する。認知症と診断された前後で何が変わったか

 「認知症といえば、なりたくない、なったらもう終わり、自分が分からなくなってしまう-ということに結びつけがち。でも、実際、(認知症の)多くの人はそんなことはない。確かに忘れてしまったり、できなくなったりすることはありますが、意識は変わりません。逆に、できることがたくさんあります。それは生きる楽しみになるだろうし、機会を持てれば、それこそ今から新しいことに挑戦できます。私自身も認知症がありながらも働いています」

 --忘れないようにするための対策は

 「直前の記憶、特に直前に何をやったかが全く不確か。やったのか、やってないのかもしれない…と。だから仕事中、リストメモにボールペンで『すること』を書いています」

 --一方で社会の理解は不十分

 「そこが本当に『まだまだ』という部分。認知症と診断されたり、自分がちょっとおかしいなと病院に通い始めたりしても、集まったり情報を得たりする場所が少ない。そのまま進行して、気づいたときには介護が必要な状態、という人が多い。認知症について悪いイメージが世間に広がっているため、自分自身が認知症と名乗り、いろいろなところとつながれない、支援が受けられない。これが現状です」

 --どう意識を変えるべきなのか

 「例えば、行政機関は『認知症の人たちの相談を受けるところ』というスタンスで、困りごとがないと話にならない、という感じがします。行政機関に求められているのは『何かをしてやる』ということじゃなくて、一緒にコミュニティーをつくっていく、という方向に意識を変えないといけないと思います」

 --政府は「共生」を掲げている

 「共生というのは、いろいろな地域の中に認知症関連の施設をたくさんつくることではない。むしろ、今まで生きてきたスタイルをできるだけ維持しながら、地域で生活できるような環境を一緒につくらないといけない。そうしないと、認知症の人は我慢し、閉じこもってしまいます。こうしたまだ変わり切れていない部分を変えるのが、私の役割です」

 --社会へのメッセージは

 「いろいろな場所で、こう聞いてみることがあります。『なぜ、希望大使だと思う?』と。希望と正反対の絶望という間違ったイメージが蔓(まん)延(えん)しているが、『そうじゃないよ』と伝えています。認知症の人を守るとか、支えるとかではなく、これまで通り一緒にやっていってくれる社会になれば『本人に希望が芽生える』、ととらえてほしいとも話しています」

 --自身にとって希望とは

 「希望大使として自分の体験を伝えながら前向きに生きてもらえるよう、認知症へのイメージを変えてもらえるよう活動していますが、本来ならば、そういう大使がいなくても大丈夫な社会になればいい。これが私の『希望』です」

 みうら・しげお 昭和32年1月4日生まれ。民間企業を退社後、障害者就労支援施設の職員に。「注意が散漫になったり、できていたことができなくなったりしたと感じた」ことから診察を受け、平成27年に軽度認知障害と診断された。現在は吉田町の精米店で週4日働きながら治療を受けている。牧之原市出身、在住。

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