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【日々コレ好日】「秘湯文化」を守るために

 「秘湯」という造語が生まれたのは昭和50年ごろ。朝日旅行会の創業者、岩木一二三が命名したという。観光業界から一目置かれた岩木について、日本秘湯を守る会監修『日本の秘湯』は「秘境宿に生きる意味を問いかけ、限りない希望と勇気と人生のロマンを与えた」と評している。

 日本人は秘湯に対して風趣やロマンを連想する一方、たやすく訪ねることができない鄙(ひな)びた土地を想像しがちだ。「秘湯ブランド」の会員宿は全国各地にある。関東では秩父市や東京都檜原(ひのはら)村など。新型コロナウイルスの影響で臨時休業を余儀なくされ、再開後も客足が遠のいている宿もあるという。

 長野と群馬の県境に位置する高峰温泉は渓谷沿いの秘湯だ。標高2千メートルに位置するにもかかわらず、都心から車で約3時間とアクセスがいい。明治35年開湯。大自然に囲まれた雲上の野天風呂が旅人の疲れを癒やしてきた。

 一軒宿の3代目、後藤克巳さんによると、100年を超す歴史は鉄砲水や火災…不運と紆余(うよ)曲折の連続だったという。「温泉の再建と存続のため、多額の借金を背負い込んだが、何度も足を運んでくれたお客さんに助けられた」と繰り返す。

 コロナ禍でも旅は続く。温泉を代々、継承する「湯守(ゆもり)」の苦労は旅という行為によって初めて報われる。(日出間和貴)

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