国内最古級のすずりか 行橋の弥生時代の遺跡で確認
福岡県行橋市にある下稗田遺跡で出土していた石器が、弥生時代中期前半の紀元前150年ごろのすずりの可能性があることが19日、国学院大の柳田康雄客員教授(考古学)の調査で分かった。すずりは同県糸島市などでも見つかっているが、柳田氏はさらに古く国内最古級とみている。
下稗田遺跡は弥生時代前期から中期の大規模集落跡。柳田氏は各地の出土品にすずりが含まれていないかを調べており、今回の確認に関し「弥生時代中期前半ごろには、福岡県の東側に文字を使う高度な文化があった証拠だ」と話している。
柳田氏は下稗田遺跡の出土品のうち、少なくとも3点はくぼみがあることなどからすずりと判断し、うち最も古い一つが国内最古級とみている。くぼみは筆記に使っていたとされる炭粒をすった跡という。最古級とみられる1点は上端4センチ、下端6・3センチ、高さ8センチ、厚さ1センチの台形。
遺跡の昭和54~58年の発掘調査報告書には、出土品として約40点の砥石が載っている。柳田氏はこれらの一部がすずりではないかと考え、今年9月に現物を確認した。
行橋市は今月21日~11月30日、市歴史資料館で3点を展示する。