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【しずおか~この人~】視覚障害者の聖火ランナー・水口茂生さん(61)

 ■「盲導犬と笑顔で走りたい」

 新型コロナウイルスの影響で実施が危ぶまれていた東京五輪の聖火リレーが、県内では来年6月23~25日に実施されると発表された。一般ランナーの一人、水口茂生さん(61)は視覚障害者。パートナーの盲導犬「イクション」と一緒に走ることで盲導犬への理解を深めてもらおうと、トーチを手にする日を心待ちにしている。 (田中万紀)

 --ようやく聖火リレーの実施が決まった

 「すごくうれしく思います。この子(イクション)と一緒に走るのが夢だったので、延期は本当に残念でしたから。この子は今、8歳6カ月。盲導犬は10歳で引退するので、聖火リレーの時点では引退まで1年を切っている。ぜひとも一緒に走りたいと思っています」

 --聖火リレーランナーに選ばれた経緯は

 「前回の東京五輪のときは5歳でした。聖火ランナーが近くを通るからと、三島市まで見に行ったのです。広小路の交差点で、ランナーが真っすぐにトーチを掲げて、私の目の前を走っていきました。まぶしいほどの秋晴れの空の下、沿道で多くの人が声援を送る中で疾走するランナーが本当にかっこよかった。今でも目に焼き付いています。だから、今回の東京五輪で聖火ランナー募集があると聞き、チャンスがあるならと応募しました。倍率は70倍と聞いていたし、結果が分かる昨年12月になっても何の連絡もないので諦めかけていたところ、12月15日ごろに連絡がありました」

 --当日に向けた準備は

 「約200メートルを2分ほどで走ればいいので、大丈夫だろうと特に準備はしていません。ただ、毎日の散歩の際にイクションに『聖火リレー走るよ』と伝えています。コースが直前まで決まらないので、試走できるかどうか気になりますが、当日はイクションだけでなく息子が伴走してくれるので不安はあまりありません」

 --イクションとの出会いは

 「この子は2頭目です。1頭目の『ラピス』は白い犬だったのですが、7歳で亡くなってしまいました。次の子をお願いするつもりはなかったのに、夢の中に黒い盲導犬が出てくるんです。しばらくして紹介されたのが真っ黒なイクションだったので、夢に出てきたのはこの子だったんだなと。普段は甘えん坊ですけど、ハーネスを付けて仕事モードになると気持ちがオンになり、私に曲がり角や段差、信号を教えてくれます」

 --どんな思いを込めて走るのか

 「何よりも、まだまだ認知度が低い盲導犬のことをもっと多くの人に理解してほしい。伊豆市内の盲導犬はイクションただ1頭なので、最初のうちは入店や(バスなどの)乗車を断られることもありました。目が不自由だと何もできないと思われがちですが、私は一人で外出はできなくても、家事や身の回りのことは一人でできます。視覚障害者であっても健常者とそんなに変わらず、いろいろなことができると知ってもらいたいのです。来年6月にはイクションと一緒に、とにかく笑顔で走り切りたいです」

                  ◇

【プロフィル】みずぐち・しげお

 昭和34年2月10日生まれ。伊豆市で「水口治療院」を経営する。修善寺工高(現伊豆総合高)では野球部主将を務め、夏の県大会で準優勝した。中央大を卒業後、25歳で進行性の難病である網膜色素変性症と診断され、40歳で当時の勤め先を退社。針灸マッサージ師の資格を取得して平成15年に開業した。伊豆の国市出身。

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