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【上州この人】「三碑かるた」歴史知るきっかけに 高崎市美術館館長・塚越潤さん(67)

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」に登録された古代石碑群「上野三碑(こうずけさんぴ)」と周辺の歴史文化を伝えようと、今年3月に上野三碑普及推進会議が作製した上野三碑かるた。読み札は公募したが、絵札は高崎市美術館館長、塚越潤さん(67)が一手に引き受けた。作製に至る苦労やかるたへの思いなどを聞いた。(椎名高志)

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 昨年春、推進会議の事務局がある市文化財保護課から「三碑かるたを作りたいが、絵札をどうしたらいいか」との相談を受けたのがきっかけだった。「絵のタッチが変わらないよう1人で44枚全てを描かなくてはだめだ」とアドバイスしたが、なかなか適任者が見つからない。

 結局、小学生のころから油絵に親しみ、美術団体・一水会の会友でもある塚越さんに白羽の矢が立った。昨年、国史跡に指定された多胡郡正倉跡の正倉想像図を描いたという実績もあった。

 決まれば行動は素早い。「読み札がそろってから描くのでは遅い。読まれるであろう建造物や史跡を想定して現場へ行き水彩でスケッチをしまくった」。例えば三碑。正面だけでなく、右から左からあらゆるアングルの碑を描いた。季節感も考え、何度も同じ場所に足を運んだ。使い切ったスケッチブックは数冊を数えた。「スケッチをするとどう表現したらいいかという印象が頭に残る」のだという。

 1級建築士でもあり、設計を立体化する3DCAD(3次元コンピュータ支援設計)も駆使した。

 「そ」の札の「空にそびえる国分寺七重塔」。資料館にあった図面を基にデータを3Dに入力、七重塔の高さ関係がわかるよう線画を起こした。絵札では、高さ60メートルほどと推定されている塔が青空を背景に鮮やかな朱色で復元された。「単なる想像ではなく、本当にこう見えたのだと思う」と力を込めた。

 作業は作製終了間際まで続いた。上毛かるたを念頭に、「読み札とピッタリ合い、個性があって一目でパッとわかり、色がきれいで、みんなが好きになること」に心を砕いた。「一生に一度の仕事。力を200%出すよう気合を入れた」と振り返る。

 かるたは、県内の小学校、中学校、高校、特別支援学校646校に配布されている。「かるたに取り組むまでは三碑を巡ったこともなかったが、下調べで歴史などを学ぶにつれ、自分が住む場にこんなにもすばらしいものがあったのかと、改めて驚かされた」だけに、「三碑はもちろん、地域の歴史や文化財を知るきっかけとして使ってほしい」と話す。

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【プロフィル】塚越潤

 つかごし・じゅん 昭和28年、高崎市出身。51年に千葉大工学部を卒業後、工務店や建築設計事務所など民間で勤務。57年に高崎市役所入庁。ほぼ建設畑を経験、高崎シティーギャラリー建設などに関わる。建設部長、市長公室長などを歴任。平成25年から同市美術館と同市タワー美術館の館長、翌26年からは同市山田かまち美術館の館長を務めている。

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