PR

地方 地方

介護職、コロナ禍で熱視線 人手不足…賃金に悩み 藤沢の老人ホーム勤務・岩渕成穂さん

 藤沢市の有料老人ホームで4月から働いている岩渕成穂さん(55)は、クラウン(道化師)が本業だ。国内外のイベントなどで活躍していたが、新型コロナウイルス感染拡大により仕事が途絶え、知人の紹介で未経験だった介護の世界に飛び込んだ。感染拡大の影響で仕事を失ったり、収入が減ったりする人が増える中、全国的に介護職に注目が集まっている。コロナ禍でも安定した求人があるためで、資格取得の講座も人気だ。人手不足に悩む現場は期待を寄せる。ただ、就職後の定着や待遇改善など課題も多い。

 岩渕さんは25歳でプロになってから、クラウン一筋でやってきた。芸能の世界で生きてきた自分から見ると、介護は「究極の裏方」。縁遠いと思っていたが、働いてみて印象が一変した。「すごく大切な仕事。自分も成長できた」

 ◆経験してから就職

 大変な面もある。一日中、動きっぱなしで心理的負担も大きい仕事だが、無資格で非常勤の岩渕さんは、このまま働いても将来的にも賃金は伸びない見通しだ。「この金額で続けるのは難しい」と感じる。最近は本業の仕事も戻り始め、両立に悩んでいる。

 介護業界では深刻な人手不足が続く。厚生労働省の調査では、令和元年の介護関係職種の有効求人倍率は4・20倍に上り、全体の1・45倍を大きく上回った。

 岩渕さんが働く施設を運営する「伸こう福祉会」は、コロナ禍で失業した異業種の人を短期採用したり、事業縮小中の異業種他社から出向を受け入れたりしている。感染防止策の徹底などで業務量が増え、人材確保は喫緊の課題だ。

 希望すればそのまま就職も可能で、他社から出向していた3人が転職を決めた。同会の勘里(かんざと)絵利奈・品質推進室長は「経験してから就職するので、ミスマッチによる離職が防げる」と期待する。

 ◆失業時の「保険」

 介護資格への注目も高い。介護人材の育成を手がける「ティスメ」では3月以降、入浴介助などを行うのに必要な「介護職員初任者研修」の申し込みが急増。クラス数を倍増して対応した。

 受講生には飲食業や製造業など他業種の人も目立つ。ある女性(58)は旅行会社で添乗員をしていた。コロナ禍で休業になり、関心があった介護を学び始めた。修了後は介護の仕事を探すつもりだ。

 介護大手の「ニチイ学館」でも、4~8月の研修受講生が前年同期比で約1・5倍に増えた。だが、会社員が多く、同社の担当者は「失業時の『保険』と捉える人が多いのではないか」と分析する。転職後の定着も課題で「事前に介護の注意点を伝え、就職後もフォローすることが大切だ」と話した。

                  ◇

 【伸こう福祉会】

 県内を中心に、入居および在宅の介護サービス、地域ケアプラザ、認可保育園、障害者支援施設を運営する社会福祉法人。平成11年3月設立。法人所在地は横浜市栄区公田町1020の5。本部所在地は同市南区日枝町1の5。従業員数は1166人(令和2年3月現在)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ