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コウノトリの食性変化解明 汽水魚の割合減、昆虫増 兵庫県立大大学院・佐川教授ら調査

絶滅前の野生コウノトリの剥製。羽毛が今回の研究に活用された=豊岡市の田鶴野小(県立コウノトリの郷公園提供)
絶滅前の野生コウノトリの剥製。羽毛が今回の研究に活用された=豊岡市の田鶴野小(県立コウノトリの郷公園提供)

 豊岡市の豊岡盆地に生息する国の特別天然記念物・コウノトリの食性の変化について、県立大大学院地域資源マネジメント研究科のグループが、保存されている剥製(はくせい)標本の羽毛を分析して解明した。野生個体が絶滅する直前の1960年代は餌(えさ)に占める汽水魚の割合が低下。人工飼育から野生に復帰した現在の個体では淡水魚の割合も減り、昆虫類に頼らざるを得ない偏った食性となっていることが初めて明らかになった。

 研究成果をまとめたのは同科教授で県立コウノトリの郷公園統括研究部長の佐川志朗氏と、同科特任助教だった田和康太氏。ドイツ鳥学会発刊の「ジャーナル・オブ・オーニソロジー」の8月12日付オンライン版に掲載された。

 これまで絶滅前のコウノトリの食性については「川魚を食べる」などの断片的な情報しかなく、当時の食性環境を知り、現在の野生復帰事業に生かすため、両氏が約5年前から研究を行っていた。

 この中で佐川氏らは、コウノトリの個体群を1930~50年▽絶滅直前の61~64年▽野生復帰後の2009~15年-の3期に分け、豊岡市内の学校や研究機関などに保存されている剥製標本18点、盆地内に生息するコウノトリ17羽のそれぞれの羽毛について、炭素と窒素の安定同位体の比率を調べ、食性を推定した。

 この結果、全体を1とした場合の餌の寄与率は、50年代までは、淡水魚のドジョウ0・33▽昆虫のコガムシ0・22▽汽水魚のボラ、トノサマガエル各0・21と、全体にバランスよく食べていた。しかし、61~64年の個体はボラの割合が0・15に下がり、ドジョウが0・36、コガムシが0・27と上昇。また、2015年までの個体はコガムシが0・65がずば抜けて高く、ボラは0・05、ドジョウも0・15にとどまっていた。

 佐川氏は「野生のコウノトリは淡水・汽水魚類からさまざまな動物をバランスよく採餌(さいじ)していたが、絶滅前には汽水魚の割合が低下。近年は淡水魚の割合も下がり、昆虫類に偏った食性が推定される」と分析。研究成果を踏まえた今後の野生復帰事業については「淡水・汽水魚類の生息環境をさらに整備する必要がある」と指摘した。

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