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球磨川氾濫で「ダム論議」再燃 予想超える水害、あらゆる対策検討を 熊本

7月、球磨川が氾濫し、水に漬かった熊本県人吉市の市街地
7月、球磨川が氾濫し、水に漬かった熊本県人吉市の市街地

 7月に九州の広範囲を襲った豪雨で熊本県の球磨(くま)川が氾濫したことを受け、ダム建設をめぐる議論が再燃している。国土交通省と熊本県が25日に開いた豪雨被害を検証する委員会で、国交省は、氾濫した球磨川の支流で川辺川ダムが建設されていれば流量が抑制され、被害を軽減できたとする推定結果を示した。全国では、計画が凍結されたダムの早期整備を求める動きも生じている。

 ■代替策なく

 傾斜が急で、川幅が狭い箇所が多い球磨川は「暴れ川」として知られる。昭和38年以降、3年連続で大水害が発生、抜本的対策として支流に川辺川ダム計画が浮上した。

 予定地は今回浸水した人吉盆地の上流。球磨川に合流する川辺川の流量抑制や、発電などが目的だった。しかし、地元の反対は根強く、蒲島郁夫知事は平成20年、「ダムによらない治水を目指す」と表明。旧民主党政権は21年、中止を決めた。

 国と流域自治体は(1)堤防かさ上げ(2)河川の拡幅や掘削(3)遊水地整備-といった代替策を検討している。ただ、住居移転、農地への影響を懸念する地元の調整は難航し、ダムを代替する抜本的な治水策は打ち出せずにいた。

 蒲島氏は7月5日、豪雨被害を受けて「氾濫を実際に見て大変ショックを受けた。ダムによらない治水が、12年間でできなかったことは、非常に悔やまれる。今度の大きな水害によってさらに考える機会が与えられた。極限まで検討したい」と述べた。

 川辺川ダムの貯水量や今回の豪雨を分析した京都大の角哲也教授(水工水理学)は「ダムがあれば、氾濫を完全に防げなくても、市街地に流れ込む水はかなり減っていたはずだ」と指摘する。

 ■変わる風向き

 「コンクリートから人へ」を掲げた旧民主党政権の下、前原誠司国土交通相(当時)は全国のダム見直しを指示。83事業を対象に、ダムと代替策の費用や効果を比べる検証を始めた。群馬県の八ツ場ダムなど多くは継続になったが、25事業は中止され、従来のダム一辺倒に一石を投じた。

 しかし、近年相次ぐ水害で風向きは変わりつつある。

 20年に滋賀県の嘉田由紀子知事=当時=らが中止を求め、21年に凍結された滋賀県の大戸川ダム。嘉田氏の後任、三日月大造知事は昨年4月、「治水安全度を上げるために必要」と容認へ転換した。今年7月10日には流域の大津市長らが国、県との意見交換会で凍結解除を改めて要請した。

 同市の担当者は「ダムの有効性は当初から認められている。洪水被害を出さないよう整備を求めたい」と話す。

 一方、国交省はダム回帰の動きに冷静だ。幹部は「近年の雨量は予想を超えている。ダムも含めあらゆる対策をやっていくしかない」と語る。

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