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【甲子園交流試合】特別な夏 1試合に込めた思い 「交流試合」取材後記

【高校野球交流試合 東海大相模(神奈川)ー大阪桐蔭(大阪)】 マスクを付け整列する大阪桐蔭ナイン=甲子園球場(撮影・水島啓輔)
【高校野球交流試合 東海大相模(神奈川)ー大阪桐蔭(大阪)】 マスクを付け整列する大阪桐蔭ナイン=甲子園球場(撮影・水島啓輔)

 新型コロナウイルス感染拡大に伴って中止された選抜大会に代わり、甲子園球場で開催された「交流試合」。後半戦(15~17日)の取材だったが、1試合にかけるそれぞれの思いが伝わってきた。

 17日の大阪桐蔭(大阪)-東海大相模(神奈川)戦は二回から六回まで両チーム無得点という流れ。「無風」だったのは球場も同じだった。

 甲子園観客席は日陰であれば、約1・5キロ先の大阪湾から吹き込んだ潮風で意外に涼しい。それが風がほとんど吹かず、座るだけでも汗が噴き出てきた。

 七回に東海大相模が逆転すると、その裏、桐蔭が同点に持ち込み、八回に勝ち越した。無風どころではない白熱の展開。試合後、選手の額につたう汗にこの一戦にかける凄(すご)みを見た。

 甲子園の土に流れるのは汗だけではない。15日に登場した21世紀枠の磐城(福島)。試合前、選手にノックしていたのは木村保前監督だった。木村氏は選抜中止で指揮を執ることがかなわず、4月の異動で同校を去った。

 試合後、木村氏は「この舞台で彼らの活躍を目にして幸せです」と語ると、絶句して目頭を押さえた。「いろいろなことがありすぎて…」。昨秋の台風19号では地元も被災し、部員らは被災地の清掃などに汗を流した。教え子の活躍を前に、さまざまな思いが去来したに違いない。

 今大会、スタンドでの応援は選手や保護者らに限定。声援や鳴り物による応援も禁じられ、チアガールや吹奏楽部員がスタンドで応援するおなじみの風景はなかった。球場に響いたのが「手拍子」だった。試合が佳境に入ると、手拍子はより大きく、テンポを増す。「チーム一丸」であることを痛感した。

 特別な夏-。野球ができることへの感謝の心。絶望の淵にあった32校の高校球児に集大成の場が準備され、3年生部員はどれだけ救われたことか。

 新型コロナの先行きは読めない。来春の選抜ではブラスバンドの熱気で「聖地」を盛り上げてほしい。あきらめず、希望の光を探し求めよう。

(さいたま総局 内田優作)

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