PR

地方 地方

野外コウノトリ200羽到達 「但馬地域を繁殖先進地に」 郷公園・江崎園長に聞く 兵庫

コウノトリ野生復帰の今後の課題について語る県立コウノトリの郷公園の江崎保男園長=豊岡市
コウノトリ野生復帰の今後の課題について語る県立コウノトリの郷公園の江崎保男園長=豊岡市

 国内の野外生息個体数がこのほど200羽に到達した国の特別天然記念物・コウノトリ。昭和46年に国内の野生個体は絶滅したが、人工飼育からの野生復帰に根気強く取り組み、今回の大台達成に大きく貢献した拠点施設が県立コウノトリの郷公園(豊岡市)だ。200羽到達を「通過点」とする江崎保男園長がこれまでの道のりを振り返り、今後の課題についても熱っぽく語った。

 --平成17(2005)年に人工飼育した5羽を試験放鳥し、100羽に到達するまでには12年かかった。一方、100羽から200羽到達までは3年と早くなったが

 「野外の繁殖つがい数の急増が主な要因だ。また、野生動物は常に人間の影響を受けているが、巣立ち後に、うまく高圧鉄塔などの危険を避ける能力を獲得すると、個体が生き続ける確率も高くなる」

 --今年は県内や京都、鳥取、島根、徳島、福井、千葉、栃木でも営巣が確認されたが、繁殖エリアはもっと広がっていいのでは

 「一般的に、良い餌場がまだまだ少ないのだろうと考えている。コウノトリが十分食べて、ヒナに与える膨大な餌を確保するだけの場所が、国内にはなかなかないのだと思う。コウノトリは低湿地を好み、福井県の越前や徳島県の鳴門では、環境をよくする努力が実っている」

 --野外コウノトリが増えたのは人の力も大きい

 「豊岡市内でも国土交通省が加陽の湿地造成に尽力し、農家も『コウノトリ育む農法』で努力した。ポイントは加陽のように湿地に魚(ドジョウなど餌となる淡水魚)を入れようとする努力。これが非常に大事だ。しかし、水田に魚を入れることはまだほとんどできていない」

 --ほ場整備により水田と水路の間に落差が生じると、淡水魚が産卵のために水田に出入りすることができなくなると指摘されている。水田と水路をつなぐ「水田魚道」の設置と適切な維持管理がコウノトリ繁殖のためにはもっと必要になってくる?

 「大きな課題だ。水管理の工夫により、なんとか魚も田んぼに入れるようにしてもらいたい。農家にとっては大変だろうが、コウノトリの繁殖には農家の協力が必須。(童謡に謳(うた)われた)『春の小川』の復活が環境収容力の底上げになる」

 --豊岡盆地以外でも収容力が高まる方がいい

 「それは確かだが、豊岡盆地、但馬地域は『コウノトリ野生復帰事業』のモデル地域。ここの環境収容力を上げて、もっとたくさんのつがいが繁殖できるようにしたい。但馬地域を先進的なモデルとしたい」

 --200羽到達について

 「(野生復帰事業の)通過点といえる。今後は大陸から新たな遺伝子を持つコウノトリの個体の導入が必要になる。今は国内のコウノトリの家系解析をして(限られた遺伝的多様性の中で)一番いい組み合わせで繁殖をなんとかやりくりしているが、それでは限界がある」

 --遺伝的多様性を増やす方法は

 「韓国、中国、ロシアなどから新たな個体を受け入れることも検討したい」

 ◇

 えざき・やすお 京都大大学院博士課程修了(理学博士)。専門は動物生態学。県立大大学院地域資源マネジメント研究科長、県立コウノトリの郷公園統括研究部長などを経て昨年園長に就任した。日本鳥学会長、応用生態工学会長などを歴任し、国土交通省・県などの各種委員会でも委員を務める。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ