PR

地方 地方

精神障害者を排除しないで 支援団体「人権センター」設立 神奈川

 差別に苦しむ精神科病院の入院患者らの人権を守ろうと、県内の精神障害者らが5月に支援団体を設立し、待遇改善に向けて奔走している。平成28年に発生した相模原市の障害者施設殺傷事件では、植松聖(さとし)死刑囚(30)に措置入院歴があったことから、世間の偏見が強まったと感じる当事者もいる。メンバーは「誰も排除されない社会を」と訴える。

 団体は「神奈川精神医療人権センター」。精神障害者や家族、弁護士ら約20人で立ち上げた。参考にしたのは、NPO法人「大阪精神医療人権センター」。

 ◆来春法人化目指す

 昭和60年から人権救済を訴える活動に感銘を受け、設立を思い立った。「差別的な扱いを受けている」「安易に拘束される」などの相談に応じ、必要があれば法的な助言も。来春の法人化を目指す。

 暖かな陽気に包まれた5月29日、メンバーは横浜市都筑区にある精神障害者のグループホームを訪れた。「地域住民の安全を守れ」。周囲の住宅の軒先には、グループホームの運営に反対する黄色いのぼり旗が約40本はためいていた。

 団体は週1回、住民にのぼり旗の撤去を呼び掛けるが、数は一向に減らない。この日は付近の小中学校も訪問。「旗を見た子供が精神障害者イコール危険と思うのではないか」「学校で当事者に話をさせてほしい」と教員に掛け合った。

 ◆考えるきっかけに

 「精神疾患と診断されたとき、今まで生きてきた世界とは別の場所に来た気がした」。そう語るのは統合失調症で入院歴があるメンバー、堀合研二郎さん(39)。入院先で看護師から「おまえ」「そこの」と呼ばれ、体を拘束された。「自尊心が傷つけられ、屈辱的だった」

 相模原の事件で、さらなる差別や偏見が生まれることを恐れた。しかし、「以前からはびこる差別が事件で顕在化しただけ。むしろ多くの人に考えるきっかけになってほしい」と受け止める。

 植松死刑囚は公判で措置入院中に、事件を起こすと具体的に決めたことを明かした

 「格下に見ていた障害者と同じカテゴリーになったと思い、ショックから行動に出たのでは」と推し量る。

 団体の藤井哲也会長(61)は「誰でも障害者になり得るという認識を共有したときに見えてくるものがある」と語る。地域で暮らしていても、入院していても、一人の人間として尊重される社会を実現したい。「障害者という枠組みをなくすことが最終的な私たちのゴールだ」

                  ◇

【用語解説】相模原市の障害者施設殺傷事件

 平成28年7月26日未明、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者の男女19人が刃物で刺され死亡、職員2人を含む26人が重軽傷を負った。殺人罪などに問われた元職員、植松聖死刑囚は事件前、襲撃を予告した手紙を衆院議長公邸に持参し、園を退職して措置入院していた。横浜地裁の裁判員裁判で起訴内容を認め、「意思疎通できない障害者は要らない」などと差別発言を繰り返した。今年3月16日、死刑判決が言い渡され、同31日午前0時に刑が確定した。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ