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【書と歩んで】(2)自由民主党総裁賞 独自の芸術生み出す

 □白●芳鶴さん(55)

 湖のほとりに枯れ木が立ち、遠くには山が見え、太陽が輝いている…。そんな情景に引き込まれるような、まるで風景画のような作風だ。人によっては、白●芳鶴さん(55)の作品に銘打たれた「Pierrot」(ピエロ)というタイトルを見るまで、これがローマ字の組み合わせで構成された書であることに気づかないかもしれない。

 山水画のように、墨で風景を描くのではなく、あくまでも文字をベースに表現するという独自の世界を生み出してきた。受賞作では、「墨の濃淡やにじみ具合でピエロの悲しさや涙を表現した。ピエロのおどける様子は、肩から筆を振り下ろすほど勢いをつけて書いた」と解説する。

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 文字の濃淡に強いこだわりがある。墨をすった時期別に「1年前」「半年前」「3カ月前」などと小瓶に分けてストックしておき、書きたいイメージに合わせて、その都度、8種類の墨を配合し、濃度を調整する。「古墨になるほど味わいが豊かになる。混ぜ方によってグラデーションの表情が大きく変わるのがおもしろい」と力を込める。

 墨をする作業自体にも書の醍醐味(だいごみ)を見いだしている。何時間も夢中になることもあり、「12時間ぶっ通しですっていたこともある」と笑う。考えごとをしながら、昼食をはさみながら、「墨をすることも書の楽しみの一つであり、息抜きになっている」という。

 日常の全てを書とともに過ごしている。「書くことに夢中になっているうちに、夜明けを迎えることもしばしばだ」と語る。

 「筆」を握り始めたのはまだ物心もつかない2歳ごろ。母は「『お絵かき』ならぬ『お字かき』に夢中になっていた」と懐かしみ、家事をする自らの傍らで、ひたすら字を書き続ける娘の様子を、たびたび話して聞かせてくれたという。

 9歳から書家の島川芳洲氏に師事。20歳ごろには「他人と違うことをやりたいという思いが強くなっていった」と回想する。

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 「書」を「アート」に進化させ始めたのも、そのころだった。追求はその後も飽くことなく、40歳を過ぎたころからは「Cat」(ネコ)や「Rose」(バラ)などローマ字を書き始めるようになった。

 「白と黒の2色だけの世界。墨にこだわり、作品に合った色を模索しながら書いていく。言葉選びのインスピレーションも大事にしたい」と意気込んでいる。

 今回の受賞には、「喜び方が分からないくらい、うれしかった」と振り返る。「島川先生をはじめ、みなさんに支えられ、励まされてきたおかげ。こんなに好きで楽しいことを職にさせていただいていることには感謝しかない」と率直な思いを語る。

 新たな目標も見いだしている。「書くことで自分が満足するだけでなく、今後はもっと見る人を幸せにしたり、気持ちを和らげたり、人の役に立てる書を追求していきたい」と力を込めている。(外崎晃彦)

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【プロフィル】白●芳鶴

 しらど・ほうかく 昭和40年2月、横浜市生まれ。21世紀国際書会理事。東京・日本橋などで「ア~ト書道教室」主宰。

●=玉の上の横棒を取る

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