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自宅に図書館「子供の成長に本を」 横浜・青木淑子さん(75) キワニス社会公益賞

 社会公益のために貢献してきた団体、個人に贈られる第43回「キワニス社会公益賞」(横浜キワニスクラブ主催)の授賞式が2日、横浜市内のホテルで行われ、本にまつわる子供の育成支援活動を行ってきた青木淑子(よしこ)さん(75)=同市=が個人受賞した。青木さんは今回の受賞に対して、「50年にわたって夫と二人三脚で続けてきた活動。子供の成長にとって身近に本があることが大切だと考え、実践してきた」と振り返る。(浅上あゆみ)

 淑子さんは大学卒業後、東京家庭裁判所に調査官として勤務した。青少年を担当し、問題を抱えた少年たちに直接向き合い、手助けする仕事に大きなやりがいを感じ、定年まで勤めた。その職務の傍ら、小学校教諭だった夫の純さんと、長年にわたって子供の教育活動に取り組んできた。その活動は「夫による斬新なアイデアの連続だった」と淑子さんは語る。

 ◆本棚の中身を交換

 始まりは純さんのクラスで、保護者から「もっと子供に本を読ませたい」という声があがったことだった。昭和45年ごろ、純さんは保護者の要望に応えようと、児童の各家庭や町内会館に本棚を用意し、本棚の中身を定期的に交換して、子供たちがさまざまな本を読むことができる仕組みを提案する。本は夫妻が自費で購入し、子供たちが読み飽きたら純さんが車を運転して本を運搬し、青木家を中心として各本棚の本を巡回させた。淑子さんは自宅を「“地域巡回文庫書籍供給センター”と名付けた」と笑う。

 本棚が100台にもなったころ、地域に図書館が増えたことなどから本棚の撤去が進み、回らなくなった本が青木家にあふれ始めた。そこで、青木夫妻は自宅を建て替えて半地下を作り、「自宅図書館」として半地下に本を集めた。その後は、阪神大震災や東日本大震災などで本を読む機会を失った子供たちに本を送ったり、アジアの子供たちに本を届ける団体「シャンティ国際ボランティア会」に約3千冊を寄贈したりするなどして、多くの本は「自宅図書館」から旅立ち、新たな子供たちの手にわたっている。それでもなお、「自宅図書館」には数万冊の本があり、子供たちへの貸し出しを続けている。

 ◆“絵本ソムリエ”

 そのほかにも、赤ちゃんの段階で物語に触れるアプローチに着目し、約15年前から、横浜市鶴見区の公園「馬場花木(かぼく)園」で紙芝居と絵本の読み聞かせをしている。また、週末に子供や保護者を公園に集めて「遊びの会」を開催するなど、夫妻の「楽しみながら学ぶ」をモットーにした教育活動は幅広い。

 これまで、夫婦でともに助け合いながら活動を続けてきたが、平成22年、純さんが病気のため他界。淑子さんは「もうとても続けられない」と、一度は活動をやめてしまおうと思ったというが、周りの協力や励ましが淑子さんの背中を押し、淑子さん1人で活動を続けている。今は読み聞かせや紙芝居をはじめ、子供たちが長期休みの際には数日間、「自宅図書館」を開放し、訪れた子供の年齢や成長にあった本を淑子さんが選んで、本棚に並べる。

 好きな本がある子には、同じ作者の本を本棚に入れておく。活字に苦手意識がある子には、字のない仕掛け絵本を選んであげる。その姿は、まさに“絵本ソムリエ”。「子供が本を読むには、本のことはもちろん、その子自身のことも知ってあげたうえで、ぴったりの本を選んであげることが必要だ」と話す。「そういう本を手渡す役割の人をこれからも育てたい」と未来を見据えた。

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【用語解説】キワニスクラブ

 民間の三大国際奉仕団体の一つで、「世界の子供たちに奉仕する」ことを使命に活動している。現在は世界約80カ国に約7千のクラブがあり、約20万人が所属している。日本には38のクラブがあり、横浜は昭和49年に8番目として設立。児童虐待防止活動やコンサート、ボランティア活動を支援するなど、活動は多岐にわたる。

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