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さよなら5両の「炭鉱電車」 三井化学大牟田工場、専用線廃止で「引退」

貨物を引き国道を横断する炭鉱電車=福岡県大牟田市
貨物を引き国道を横断する炭鉱電車=福岡県大牟田市

 さよなら「炭鉱電車」-。炭都として知られた福岡県大牟田市のシンボルだった炭鉱電車が7日、最後の任務を終えて引退した。三井化学大牟田工場が、JR鹿児島線と工場を結ぶ専用鉄道(1・8キロ)を廃線にするため。現役では国内最古とされる100年前に製作された電車もあり、かつては世界文化遺産に登録された旧三池炭鉱専用鉄道も走っていた。三井化学は炭鉱電車を「地域の記憶」として残そうと、その映像を保存。9月にはラストランイベントを開催する予定だ。(九州総局 永尾和夫)

 ■トラックに転換

 三井化学によると、大牟田工場は、三菱ケミカル福岡事業所(北九州市)から貨物列車で届く原料の硝酸を運ぶため、専用線を使ってきた。しかし、三菱ケミカルが硝酸の生産を4月末で中止。三井化学が硝酸の入手先を変え、新たな硝酸は三池港(大牟田市)に着くため、トラックで輸送することになり、専用線は廃止することになった。

 旧三池炭鉱専用鉄道は、三池港から石炭を運び出すために敷設された。大牟田市と熊本県荒尾市にある坑口を結んでおり、支線を含めた総延長は18キロにも及んだ。明治年間は馬車鉄道だったが、その後、蒸気機関車、電気機関車へと発展した。一時は炭鉱マンや家族を運ぶ旅客輸送にも使われるなど日本のエネルギーを支えてきた。しかし炭鉱の衰退とともに縮小し、平成9年の閉山とともに、本選は廃線となった。

 ■百年前の車両も

 三井化学は三池炭鉱専用鉄道本線の宮浦駅から分かれ、JR線に接続する大牟田市内の旭町支線を譲り受け、運行を続けてきた。

 一方、三池炭鉱専用鉄道本線の南側の5・5キロは宮原坑、万田坑、三池港とともに平成27年、世界文化遺産に登録された。しかし、世界遺産になった区間は線路は撤去され、一部に坑木が残るのみだ。

 三井化学専用鉄道の炭鉱電車は5両で、いずれも80年以上前に製造されたものばかり。最古とされる電車は大正4(1915)年三菱造船製で105年が経過している。三井化学は長い間、現役を続けられた理由について「構造がシンプルだったため、修理やメンテナンスも容易だった」と説明する。

 ■9月ラストラン

 5両は毎日、JR大牟田駅北側の操車場で貨物を連結、宮浦駅を2往復してきた。国道208号の旭町1号踏切には、昔ながらの踏切番小屋があり、手動で遮断器を動かしてきた。このレトロな風景が、全国の鉄道ファンの人気を集め、格好の撮影スポットになっていた。

 6日には午前8時過ぎと9時過ぎの2回にわたって貨車を引いた炭鉱電車が往復すると、市民らが感慨深げにシャッターを切っていた。7日にはJRにコンテナを返却するため1往復し、全ての業務を終えた。同社は今後、炭鉱電車5両や駅舎などの保存について検討する。

 また、映画「いのちスケッチ」を製作した映画監督の瀬木直貴氏に「風景の遺産」としてメモリアル映像の製作を依頼。市民から募集した炭鉱電車にまつわるエピソードとともに、9月にラストランイベントを開催し披露する計画だ。

                  ◇

【用語解説】大牟田・荒尾の世界文化遺産

 九州・山口を中心に日本の近代化に貢献した23遺産が平成27年7月「明治日本の産業革命遺産」として、世界文化遺産に登録された。大牟田・荒尾両市には、三池炭鉱宮原坑、万田坑、三池港、三池炭鉱専用鉄道敷跡の4遺産がある。

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