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山小屋決断、「危ない目」に遭う前に

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて、八ケ岳連峰にある「赤岳鉱泉・行者(ぎょうじゃ)小屋」(長野県)が今秋までの閉鎖に踏み切った。紅葉を迎える11月末まで、約7カ月に及ぶ全面閉鎖を決めたことが登山愛好家の間で話題になっている。

 各地の山小屋は地域の実情を踏まえて自主休業している。大型連休までの所もある。夏山シーズンに向けて「3密」のリスクが増す中、山頂でコロナの感染者が出てしまえば、医療従事者だけでなく、警察(山岳救助隊)の手を煩わせることになる。人気の山小屋が長期の閉鎖に踏み切ったのは、そうした事情がある。

 これと対照的だったのがパチンコ業界だ。往生際の悪さがひんしゅくを買った。埼玉を中心に首都圏で展開する中堅グループは、休業のタイミングを遅らせ、最終的に休業要請に応じた。お上の顔色をうかがっていたと勘ぐられても仕方があるまい。

 両者の違いの一つに、想像力の差がある。パチンコ店が目先の利益に目が向いていたのに対し、登山家の命を預かる山小屋は自らの責務として安全を最優先させた。「危ない目に遭ってから教訓を得るというスタイルでやっていると、いずれはほんとうにひどい目に遭う」。岩壁登攀で知られるクライマー、馬目弘仁(まのめ・ひろよし)さんがインタビューで答えていた(山本修二編著『岳人備忘録』東京新聞)。登山家が命を粗末にしたら、いくつ命があっても足りない。

 人に迷惑をかけないことが山屋の基本ルール。馬目さんは「困った登山者とは?」と聞かれ、「危険に鈍感な人」と答えている。危険をやり過ごしたパチンコ店が失った社会的信頼はあまりに大きい。

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