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新型コロナと闘う福島第1原発 感染防止へ神経とがらせ

 新型コロナウイルスの感染拡大が、廃炉作業が進む東京電力福島第1原子力発電所の現場に強い緊張感をもたらしている。事故後の福島第1原発の安定状態を保つため、24時間体制で勤務を続けている当直員に新型コロナウイルスの感染者が続出すると、勤務シフトを組めなくなる恐れがあるからだ。“見えない敵”との闘いに、関係者は神経をとがらせている。 (芹沢伸生)

 ◆現場には4千人

 事故を起こした福島第1原発では、原子炉内で高温になり溶け落ち、金属などと一緒に固まった「燃料デブリ」の安定を保つことが不可欠。そのため、絶え間なく冷却水を循環させ、その過程で出る汚染水をセシウム吸着装置や多核種除去設備などで処理する作業を並行して行っている。

 約4千人が働く現場で、特に重要なのが原発のプラント維持を担う当直員だ。一連の設備の操作や監視、定期点検のほか、急なトラブルなどにも対処する。仕事は多岐に渡り、専門の訓練を受けた東電社員が担当している。

 当直員の仕事場は、事故を起こした1~4号機に関係する機器が設置されている免振重要棟の緊急対策室と、5・6号機の中央制御室。また、水処理設備担当の当直員も緊急対策室に詰めている。1~4号機、水処理、5・6号機のそれぞれ6~7人で構成する当直班が5班ずつ。この陣容で2交代勤務、24時間体制で仕事を行っている。

 万一、当直員に感染者が出た場合、同じ当直班のメンバーが濃厚接触者とみなされ、当直スタッフが足らなくなる懸念は捨てきれない。テレワークなども不可能なだけに、現場の緊張感は高まっている。

 感染者が相次ぎ人員不足に陥るような不測の事態に対する備えについて、東電の広報担当者は「当直に関して、そこまでのシミュレーションはしていない。とにかく感染者を出さないことが重要」と強調する。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東電は当直員の感染防止策を徹底した。社員寮と原発の行き来に使う通勤バスは当直員専用にしたほか、当直員が勤務する部屋は部外者を入室禁止にした。

 ◆出張も原則禁止

 東電は当直員にとどまらず、全スタッフの新型コロナウイルス感染防止にも躍起だ。全所員に出社前の検温と報告を義務化。37・5度以上の熱があるスタッフは出社を控え、職場管理者に報告することになっている。また、食堂では飛沫(ひまつ)感染を防ぐため、向かい合いで食べることを禁止。出張に関してもテレビ会議システムなどを活用し、原則禁止にしている。

 他のスタッフとの接触を極力避け、感染リスクを下げるための措置として、福島第1原発では視察の受け入れも現在は中止している。徹底した感染防止対策で現在のところ福島第1原発の従事者の中に東電、協力企業を含めて感染者・感染疑い者は出ていないが、感染拡大が収束するまで気の抜けない日々が続く。

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