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石工の技さえ水路橋復旧 熊本地震で被災「通潤橋」19日に記念放水

通潤橋の復旧工事に携わった石工の道上直弘さん(中央)ら=熊本県山都町
通潤橋の復旧工事に携わった石工の道上直弘さん(中央)ら=熊本県山都町

 熊本地震や、その後の大雨で被災した国指定重要文化財の石造りアーチ式水路橋「通潤橋(つうじゅんきょう)」(熊本県山都町)が復旧工事を終え、19日に記念放水が行われる。慎重に石積みの作業を重ねてきた若手石工は「復旧を機に、隙間のない精密な石垣の構造に注目してほしい」とアピールする。

 幕末の安政元(1854)年に造られた通潤橋は総延長約30キロに及ぶ用水路の一部で、長さ約76メートル、高さ約20メートル。橋の上部に敷設された3本の石の通水管は水の乏しい地域に農業用水を送る役割を持ち、中央部からの豪快な放水が観光客の人気を集める。

 平成28年4月の熊本地震では橋のたもとに近い石垣上部が最大約15センチずれるなどの被害を受けた。修復をほぼ終えた30年5月には大雨で、周辺の石垣93個が高さ約3・4メートル、長さ約10メートルにわたり崩落した。

 「三歩進み、二歩下がる作業だった」。地元の建設会社「尾上建設」の石工、道上直弘さん(33)は崩落した周辺の石や通水管の一部を解体し、何度も積み直した作業を振り返る。

 目指したのは完全復元。山都町が地震前に撮影した立体データも活用し、それぞれの石の配置は特定できたが、作業は苦労の連続だった。国指定重要文化財のため石を加工できず、うまくかみ合う位置を探りながら積まなければいけない。

 全体のバランスを確認する「仮積み」という作業を5~6回重ね、最終的に7~8段積んだ。最後の1個がうまくはまらないこともあり、「正解がない作業だと痛感した」

 石工の後継者不足が深刻な中、作業の中心を担ったのは道上さんと40代の石工。道上さんは「石はずっと残る。造られた当時の技術には足元にも及ばないが、受け継がれた財産を後世に残していきたい」と話す。山都町によると、新型コロナウイルスの影響で19日以降はいったん放水を中断。7月21日に再開する予定だ。

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