PR

地方 地方

「スマートバス停」全国展開へ 西鉄など開発、身近な情報発信施設に 福岡

時刻表や臨時便の案内などが遠隔配信できるスマートバス停=北九州市小倉北区
時刻表や臨時便の案内などが遠隔配信できるスマートバス停=北九州市小倉北区

 西日本鉄道子会社の西鉄エム・テック(福岡市)と通信機器開発の「YE DIGITAL」(ワイ・イー・デジタル、北九州市)が、液晶パネルなどを活用し、時刻表やバス臨時案内を遠隔配信する「スマートバス停」の全国展開を目指している。両社が開発したバス停は、遠隔操作で表示内容を更新し、バス会社共通の課題である時刻表の張り替えなどの作業負担を軽減する。災害時の情報提供も可能で、導入が広がれば、未来のバス停は情報発信拠点に変わるかもしれない。(高瀬真由子)

 ■作業負担を軽減

 北九州市小倉北区の商業施設前にあるバス停「砂津」。スマートバス停が採用され、現時間帯の時刻表が大きな文字で表示されるほか、路線図や注意報・警報情報、広告が数秒ごとに切り替わる。行き先は英語や中国語、韓国語で交互に表示され、訪日客にも必要な情報が伝わるようにしている。

 スマートバス停は、液晶パネルや電子ペーパーを使い、時刻表のほかバスの近接・遅延情報などを配信する。平成30年に西鉄グループ管内の北九州市で設置を始め、これまでに盛岡市や金沢市など4地域16カ所で、実証実験として導入された。寒冷地ではヒーターを内蔵するなど地域特性も踏まえている。

 西鉄エム・テックの久池井(くちい)隆取締役は「ダイヤ改正があれば、営業所社員はどんな気候でも、深夜から早朝にかけて時刻表の張り替え作業をする。過疎地はバス停も広範囲にわたる。業務はマンパワーをかけた人海戦術で、全国のバス会社の悩みは一緒だと思う」と語る。

 西鉄では、営業所ごとに100カ所以上のバス停を管理し、グループ全体で約1万200カ所のバス停を持つ。時刻表には特別な用紙を使うため、制作コストもかかるのが悩みの種だった。

 スマートバス停は、限られた労働力を電子化で補うことに加え、広告収入などで新たなビジネスを得る機会にもなり得る。表示に関する問題も、遠隔で把握できる可能性がある。開発した両社は、各地のバス会社への製品普及を目指し、合弁会社設立や資本提携についても協議している。全国では52万のバス停があるとされ、約40の事業者がスマートバス停に関心を示しているという。

 ■交通機関つなぐ

 乗客に最適な移動手段を提供する「MaaS」の観点からも、リアルタイムで情報を発信する次世代型バス停の普及には期待がかかる。例えば、鉄道や航空機の運休情報などがバス停の段階で事前に分かれば、乗客は無駄に動くことなく、他の交通手段を選択できる。西鉄では北九州市内の一部のスマートバス停で北九州空港のフライト情報を表示している。

 デジタルサイネージ(電子看板)など最新技術の活用が進み、交通機関の案内表示は、この数年で大きく様変わりした。訪日客の増加もあり、情報発信の拠点として、駅や停留所の役割は増している。

 特にバスは、交通渋滞の影響を受けるため、定時制の確保が難しい。乗客の利便性向上に向け、バス停の環境改善は進んでおり、バスの接近を画面で伝えるロケーションシステムの採用や、スマートフォンで運行情報を表示するQRコードを、バス停に掲示するなどの取り組みもある。

 ■可能性広がる

 各地のバス会社は、収支悪化で路線の廃止を余儀なくされ、利便性低下でさらに利用者が減る厳しい状況に置かれている。次世代型のバス停設置には、コストや通信費などの課題があるが、電子化で情報量に制限がなくなり、速報の配信が可能になれば、災害発生時の避難所案内や、大学や企業からの緊急情報、地域のお知らせなど、住民に身近な情報発信拠点としての役割も果たせる。

 バス停は地域住民に最も身近な施設でもある。管理には省力化が求められるが、アイデアと工夫次第で、バス停の可能性は広がることが期待される。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ