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リーダー育てる道徳教科書完成 修猷館名物教諭の教えも 令和5年、福岡で小中一貫校開校目指す

小中一貫校構想の目玉となる教科書3冊を手にする山口秀範氏
小中一貫校構想の目玉となる教科書3冊を手にする山口秀範氏

 福岡県に国内外で活躍できるリーダーを育成する小中一貫校の設立を目指す有志が、新学校の目玉の一つである道徳教育の「教科書」を完成させた。古今東西の人物伝や古典の名文に加え、先人から受け継がれてきた日本文化などを取り上げる。その原点には、県内屈指の伝統校、県立修猷館高校の名物教諭の教えがあった。

(九州総局 中村雅和)

 設立構想は、伝統的な教育の普及事業に取り組む「寺子屋モデル」(福岡市博多区)の山口秀範社長と、私立博多高校(同市東区)などを開設している学校法人「博多学園」の八尋太郎理事長が長年温めてきた。平成26年に福岡財界の支援を受けて本格的な準備が始まった。当初は、福岡県宗像市内で「日本一小中学校」として29年春の開校を目指していたが、用地取得などが難航して断念。現在は「小中一貫校志明館」として、県内の複数の候補地で取得交渉を進め、早ければ令和5年4月の開校を目指している。

 新学校の教育は小学1年から中学3年までのうち、特に小学3年までの道徳教育を重視している。完成した「教科書」は3冊で構成。皇位簒奪(さんだつ)をもくろんだ道鏡の野望を打ち砕いた和気清麻呂や、後醍醐天皇を支え続けた武将の楠木正成といった古代・中世の人物だけでなく、出光興産創業者の出光佐三や、目や耳の重複障害を克服したヘレンケラーら現代までの世界の36人を選び、生涯を紹介する『偉人伝』、論語をはじめ四書五経の一節などを収めた『素読暗誦(あんしょう)』、祝日の由来や、年中行事などを記した『伝統文化・礼儀作法』だ。道徳を扱う独自科目「寺子屋」で用いる。

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 編集した山口氏は「一連の内容について、修猷館時代に教えを受けた小柳陽太郎先生(故人)からの影響は大きい」と話す。

 小柳氏は昭和25年から33年間、修猷館高校で国語科教諭として教鞭(きょうべん)を執った。授業はもちろん、自宅での課外授業で、数多くの学生を育てた。退職後も、国民文化研究会(東京)主催の「全国学生青年合宿教室」などで講義し、後進の育成に力を注いだ。その様子を知った中川昭一元財務相(故人)から「現代の吉田松陰」と評された教育者だ。

 小柳氏の授業は独特だった。取り扱うのは、聖徳太子から吉田松陰や西郷隆盛ら古今の先人が残した言葉や、『古事記』など歴史書、『万葉集』といった歌集まで多種多様だった。それらを題材に、先人の考えや心構えを説いた。

 山口氏は「小柳先生の授業では、言葉の美しさや、言葉に込められた力に引き込まれた」と振り返る。

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 目指している学校設立は用地取得が難航するなど道は険しい。それでも、山口氏は昨年7月、長期休暇を活用して新学校の教育を試行した「サマースクール」などを開き、手応えを感じている。

 サマースクールには小学1~3年の16人が参加し、博多高校で開催された。偉人伝の解説授業や素読暗誦のほか、英語やプログラミング教育、野外活動などに取り組んだ。

 山口氏は「たった3週間でも、子供たちは大きく変わった。9年間ではより成長させられると思う。何としても学校を設立し、理想の教育を実践したい」と話している。

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 3冊の教科書は梓書院から市販している。3冊でセット5千円(税別)。教科書や新校構想についての問い合わせは、志明館開校準備会事務局(092・410・1450)。

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