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豪雨不通のJR日田彦山線 トップ会談でBRT転換を議論 3月末までに合意目指す

JR九州と関係自治体のトップが出席した日田彦山線の復旧会議=大分県日田市
JR九州と関係自治体のトップが出席した日田彦山線の復旧会議=大分県日田市

 平成29年7月の九州北部豪雨で被災し、一部区間で不通が続くJR日田彦山線について、JR九州社長と福岡、大分両県、沿線3市町村の首長が話し合う復旧会議が12日、大分県日田市内で開かれた。JR九州が提示していたバス高速輸送システム(BRT)に転換する案を議論することを確認し、3月末までの合意形成を目指すことになった。ただ、沿線の福岡県東峰村が鉄道の復旧を強く求めており、協議がまとまるかが今後の焦点となる。(九州総局 高瀬真由子)

 トップ会談は、昨年4月の開催以来10カ月ぶり。これまでの会議で、JR九州は、自治体の財政支援などによる収支改善を前提とした鉄道の復旧▽線路の一部を専用道にするBRT▽一般道を走るバス-の3案を提示。一方、自治体側は鉄道復旧を要望した上で、財政支援は否定し、議論は平行線が続いてきた。

 この日の会議で、大分県の広瀬勝貞知事は「鉄道復旧はハードルが高い。BRT案を練っていくことが大事だ」と発言した。福岡県の小川洋知事は「BRTのダイヤがどうなるかや、鉄道と比べどう便利になるのか掘り下げないといけない。一番いいやり方を考える時期にある」と述べた。

 沿線の福岡県添田町は、BRT案について「住民の意見を聞く一つの案にはなる」、日田市も「提案を持ち帰り、住民に説明したい」とそれぞれ表明した。

 これに対し、東峰村の渋谷博昭村長は「鉄道での復旧ができなければ、大きな禍根を残す。BRTを前提とせず、鉄道の復旧案を示してほしい。東峰村はこのシナリオは持って帰れない」と主張した。

 会議ではJR九州から、BRTを整備する場合、現在の鉄道駅の間に、複数の停留所を設けて利便性を図ることや、バリアフリー車両の導入を検討することなどが示された。会議終了後、青柳俊彦社長は「案のブラッシュアップや、丁寧な説明など、次回の復旧会議に向けて最大限努力する」と語った。

 ■早期決着望む声

 日田彦山線は、豪雨で橋梁(きょうりょう)や線路など63カ所で被害が発生し、添田(添田町)-夜明(日田市)の29・2キロが不通となった。現在までバスによる代替輸送が続いている。

 昨年4月の前回会議で、JR九州が3案を示し、それ以降、各市町村が地元で住民説明会を開き、住民の意見を聴取した。

 説明会では鉄道復旧を求める意見が大半を占めたが、被災から2年以上が経過して代替輸送が長期化する中、地域の交通手段を確保するためBRTやバスの整備を望む声も出ていた。

 添田町が昨年9月、説明会出席者を対象にしたアンケートでは、BRT、バスが望ましいとする回答が合わせて3割に上った。日田市はアンケートは実施していないが、説明会で沿線の大肥町自治会(72世帯)がBRTを含むバス輸送を希望すると表明した。

 同自治会で班長を務める堀義幸氏(69)は「復旧方法が決まらない影響で、災害対策用の水路整備の位置や、周辺の農地活用の方向性も定まらない。早期決着を望んでいる」と語る。地域は高齢化が進んでおり、住民の中には運転免許返納に備え、自宅近くで乗降できるBRTの整備を求める声があるという。

 ■協議が前進

 一方、東峰村は、昨年10月のアンケートでも、回答した住民のうち96%が財政負担なしでの鉄道復旧を望んだ。一部の住民は鉄道復旧を強く求めて決起大会を開き、署名活動も展開してきた。この日、復旧会議の会場前では、沿線住民約20人が、横断幕を掲げて鉄道復旧を訴えていた。

 ただ、平成30年4月からトップ会談が開かれながら結論が出せない状況に、多くの住民から、いらだちや失望の声も上がっている。復旧会議で、自治体からBRT案の検討を容認する意見が出たのも、早期決着を求める住民の声が背景にある。持続可能な交通網を模索する重要性が自治体に広がり、BRT案を検討する方針が示されたことで、ようやく協議が前進した。

 日田彦山線の不通区間の運行の厳しさは数字が物語る。収支は2億6千万円の赤字(28年度)で、JR九州は設備の維持費に相当する年1億6千万円の収支改善が必要と主張する。復旧費は、鉄道の場合は56億円、BRTは10億8千万円、バスは1憶8千万円と見込まれる。

 全国では収支悪化を背景にローカル線の廃線が相次ぎ、鉄道は縮小の時代に入った。自治体トップは、人口減少下の交通網として最善の策を選択する必要がある。

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