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裁判所、死刑へにじむ慎重判断 遺族「絶望しました」

 殺人罪などに問われた平野達彦被告(45)への1審死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡した27日の大阪高裁判決。1審の裁判員裁判による死刑判決が2審で破棄されたケースは今回で7件目となる。プロの裁判官による上級審での減軽判断に、専門家は「裁判員は責任感や参加意欲を失う」と指摘する。

 「本日の判決にただただ驚き、絶望しました」。27日午後、平野浩之さん=当時(62)=ら3人の遺族は代理人弁護士を通じ、コメントを発表した。「1審の判断を否定して被告人を守ることは、裁判員裁判の趣旨を台無しにするものと思います」。高裁の判断へ強い怒りをにじませるとともに、検察側の上告に期待を込めた。

 「国民の常識を刑事裁判に反映させる」。市民が参加する裁判員裁判は平成21年、こうした目的で始まった。近年は裁判員裁判の判断を上級審でも重視する流れがあるが、死刑だけは事情が異なる。被告の責任能力を限定的と捉えたり、被害者の数など公平性を重視したりした結果、上級審では破棄をいとわない判断が続いている。

 24年に大阪・ミナミで通行人2人が殺害された通り魔事件は、大阪高裁が「計画性が低く、精神障害の影響が否定できない」として1審大阪地裁の死刑判決を破棄。神戸市で26年に小学1年の女児=当時(6)=が殺害された事件でも、1審の死刑判決を覆した高裁の無期懲役判決がいずれも最高裁で確定している。

 今回の事件は、責任能力の有無が主な争点だった。大阪高裁の村山浩昭裁判長は判決理由で「1審判決が死刑なので、責任能力の判断に万全を期すために精神鑑定を実施した」と言及。改めて死刑判断に対する裁判所の慎重な姿勢が見え隠れした。

 こうした判断をめぐっては、以前から国民感覚との乖離(かいり)を批判する声もある。専門家はどう見るのか。

 甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「今回のような事例が増えれば、市民が裁判員として責任感を持って参加する意欲を失う」と指摘。死刑や無期懲役とした1審判決を破棄する際には「1審に差し戻し、別の裁判員や裁判官に審理を委ねる運用に改善すべきだ」と求めた。

 「控訴審で判決が変わっても『経験が無駄になったとは思わない』と答える経験者は多く、(裁判員の)辞退率の増加などとの関連はないだろう」と話すのは裁判員制度の理解・普及活動に取り組む市民団体代表の礒野太郎さん。その上で「裁判官は一層丁寧な理由の説明が求められる」とした。

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