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震災遺構保存へワークショップ 旧中浜小、校歌残し風化防止

 東日本大震災で大きな被害を受け、震災遺構として公開の準備が進む旧中浜小学校(宮城県山元町)で、校歌を歌って録音し保存することで震災の教訓を後世に伝えようと、今月に入り同町で「校歌復刻保存ワークショップ」が開かれた。ワークショップには卒業生や元教職員らが参加。「100年、千年先に震災を伝える」という思いを乗せた校歌が会場にこだました。

 ◆それぞれの思い

 旧中浜小は昭和39年に開校。平成元年には津波や高潮から校舎を守るための工事が行われ、周囲を1・5~2メートルかさ上げした2階建て鉄筋コンクリート造りの新校舎が完成した。

 卒業式の1週間前に発生した震災では津波が2階の天井付近まで押し寄せたものの、児童、教職員ら90人は屋上に避難して無事だった。

 震災後は同町立坂元小の空き教室を間借りして授業を再開したが、25年3月に閉校。現在は震災遺構として来年度の公開を目指し、町が整備を進めている。

 今月1日に行われたワークショップは震災復興を支援する団体「オーバーザレインボウ基金」が主催。ワークショップの様子を録画し、動画配信サイト「ユーチューブ」に投稿することなどを通じて、震災の風化の防止を図るのが狙いだという。

 ワークショップに参加した門間裕子さん(66)は同校最初の卒業生で、教員となり、震災時は同校で教鞭(きょうべん)をとっていた。ワークショップで「平成元年のかさ上げが津波から私たちを助けてくれた。本当に感謝している」と語った門間さんは息子3人も同校に通わせていたといい、「母親としても思い出深い学校だった」と笑顔を浮かべた。

 ワークショップでは世代を超えて、同校の思い出を語り合う時間も設けられた。震災当時、同校の5年だった根元夏奈さん(20)と渡部遥香さん(20)は、保護者や児童が出店で買い物を楽しむ「けんこまつり」が一番の思い出だと口をそろえる。根元さんは校歌保存について「震災を風化させたくない。校歌が形として保存されることは、意味のあることだと思う」と語った。

 ◆未来に伝える

 震災時、校長を務めていた井上剛さん(62)もワークショップに駆けつけた。退職後は語り部などの活動を通して震災の記憶を伝えている。校歌の一節にある「起(た)て たくましく大地をけって」に復興が進む町と人々へのエールの気持ちを乗せて歌ったという。

 井上さんは「私たちの思い出だけでなく、学校、町が被災したことを未来に伝えることが校歌を残す意味になる。録音した校歌は、震災遺構の校舎内で流してほしい」と語った。

 町では先月25日から今月にかけて、地域住民と東北大、神戸大の学生ボランティアが協力して震災前の町並みを再現したジオラマを制作。震災遺構として公開された後の校舎内に設置される予定だという。

 町生涯学習課の担当者は「震災前の町を復元することが被災者の心の復興につながる」と指摘した上で、「見る人は震災を自分の身に置き換えて防災に役立ててほしい」と話している。 (塔野岡剛)

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