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紙製ストロー、熊本で生産 日本ストローが開発、年間1千万本目指す 

新たに開発した紙製ストローについて説明する稲葉敬次社長
新たに開発した紙製ストローについて説明する稲葉敬次社長

 三井松島ホールディングス傘下で、ストロー製造販売大手の日本ストロー(東京)が新たに「紙製ストロー」を開発した。米コーヒーチェーン大手、スターバックスをはじめ、外食業界などでプラスチック製ストローを紙製に切り替える動きが進んでおり、需要の多様化に対応する。年間1千万本の生産を目指し、来年1月にも販売を始める。

 プラスチックごみによる海洋汚染が注目される中、日本ストローは昨年11月、熊本工場(熊本市東区)に紙製を製造する機械を導入し、約1年かけて研究・開発に取り組んできた。

 紙製はプラ製に比べて耐水性が劣り、紙を重ね合わせる際に接着剤を使用するため、独特のにおいがするなどの課題があった。

 このため、日本ストローは製紙会社と協議を重ね、紙に撥水(はっすい)性を持たせることで、ストロー本体に水がしみないように工夫。素材の紙は、海外製に比べ、においのしない日本製を選び、独自の脱臭装置で接着剤などのにおいを軽減することにも成功した。

 すでにコンビニエンスストアや外食チェーン、ホテル業界などが紙製に関心を示しているといい、一定のニーズを見込んでいる。一般的に紙製はプラ製に比べて価格が4~5倍になるとされるが、同社は生産性を上げることで2~3倍に抑えて販売することを検討している。製紙会社などが紙製ストローの販売に参入しており、価格競争力も意識する。

 日本ストローは紙製のほか、水中で自然分解する素材の研究も進めており、来年中の製品化を目指す。植物由来の素材を使ったストローもすでに販売している。日本ストローは熊本市と静岡県に工場があり、年間60億本の生産能力を持つ。プラ製は、飲料メーカーを中心に依然需要は高いという。稲葉敬次社長は「商品の多様化を進め、あらゆるニーズに応えられるようにしたい」と語った。

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 ■海洋ごみ問題の解決不可欠

 環境への負荷が大きいとして、プラスチック製ストローの使用を止める動きが広がっている。鼻にストローが刺さったウミガメの画像が拡散し、脱プラスチックの動きが加速した昨年以降、レストランやコーヒーチェーンなど外食業界やホテルが、ストローの撤去や紙製への切り替えを相次いで発表した。

 ただ、幼い子供や高齢者、障害者の中には、飲みやすいプラ製ストローを必要とする人が少なくない。プラ製を紙製にしていけば森林破壊の問題が浮上することも考えられ、別の課題を生む側面もありそうだ。年間約800万トンとされる海洋に流出するプラごみのうち、ストローが占める割合は0・1%以下との指摘がある。ストローだけを悪者にしても大勢に大きな変化はない。海洋ごみ問題の解決には、適切なごみ処理や再利用に、各国が取り組むことが不可欠だといえる。

 居住環境の改善に取り組む国連機関「国連ハビタット」福岡本部が10月、福岡市内で海洋汚染を考える国際会議を開いた。東南アジアや太平洋の国々の政府関係者らが、自国のごみ処理対策が追いつかず、多くのごみが河川や海に流れ込んでいる現状を報告した。

 環境省の資料によると、国別のプラごみ流出量(2010年推計)は、最多が中国で、次いでインドネシア、フィリピンとアジア各国が上位を占める。こうした国を中心に、適切なごみ処理をする環境整備が重要で、日本は処理の技術支援で貢献できる。

 欧州連合(EU)欧州議会は3月、使い捨てプラスチック製品を禁止する法案を可決し、2021年までに施行する。6月に日本で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議では、2050年までに海洋プラごみによる追加汚染をゼロにする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有された。

 対策は世界的な潮流となっているが、すでにプラスチックは医療をはじめさまざまな分野で使われ、生活を支えている。対策が新たな課題や環境負荷を生まないか、幅広い視点が求められている。(高瀬真由子)

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