PR

地方 地方

ソウル旅レポ 日本女性「映え」撮影楽しむ 食いしん坊記者の胃袋わしづかみ

数多くの屋台が並ぶ広蔵市場
数多くの屋台が並ぶ広蔵市場

 韓国で日本製品の不買運動が続く中でも、韓国に入国した日本人旅行者数は、前年を上回るペースで推移する。福岡空港から韓国ソウルへ向かう飛行機に乗ると、20~30代の女性の姿が目立った。こうした若い日本人女性は、現地の「インスタ映え」スポットを楽しんでいた。(九州総局 中村雅和)

 ソウル中心部、東大門の北側に路上美術館とも呼ばれる「梨花洞(イファドン)壁画村」が広がる。

 背中から天使の羽が生えているような写真が撮れる壁画や、空に舞い上がる風船をつかむオブジェなどが、あちこちにある。韓国人はもちろん、旅行者にとって人気の撮影スポットだという。

 一帯は2006年以降、韓国政府が主導した都市再生事業で生まれ変わった。点在する作品は、約70人の芸術家や市民が制作した。スマートフォンやカメラを手に、撮影に興じる若者が絶えない。

                 × × × 

 益善洞(イクソンドン)地区には、「韓屋」と呼ばれる古民家が多く残る。最近、こうした伝統的な建物の外観を生かしながら、カフェやレストラン、雑貨店に改装するケースが増え、人気を集める。

 エリア屈指の行列店「ミルトースト」は、フレンチトーストや、せいろで蒸されたパンが人気だ。のれんには、パステルカラーでパンが描かれていた。日本人女性グループは、のれんを前にポーズをつくり、撮影を楽しんでいた。声をかけると「ここには絶対に来たかった。大満足」と笑顔を見せた。

 旅行情報誌「るるぶ」を発行するJTBパブリッシングの中川由佳氏は「若者はSNSで情報を集め、雑誌で場所やメニュー、評判などを再確認し、訪れている。旅の様子をSNSに投稿するのも、大きな楽しみなんです」と話した。

                 × × × 

 だが、一食で2合のご飯を食べる記者にとって、ソウルの大きな楽しみは、バリエーション豊かな韓国料理だった。

 広蔵(クァンジャン)市場を訪れた。青果や肉、魚介、乾物などあらゆる食材が並び、屋台が軒を連ねる。安価で美味な韓国料理が楽しめる場所だ。

 通訳兼コーディネーターの金民英(キムミンヨン)氏は「昔ながらの市場はどんどん消えている。その中で広蔵市場は、その場で食べられることを魅力に、観光客を取り込んできた」と語った。

 金氏の案内で、生のワタリガニ(ガザミ)を、しょうゆのような調味液で漬け込んだ「カンジャン・ケジャン」を扱う店を訪ねた。

 カニみそは、漬け込まれることで、さらにうま味を増す。身に生臭さはなく、かみしめると、ぷりっとした弾力がたまらない。

 カンジャン・ケジャンは「ご飯泥棒」の異名を持つ。サービスで出してもらった温かな白飯に、カニみそと内子(卵巣)を混ぜる。一度口に運ぶと、スプーンが止まらない。まさに泥棒だ。記者の心(食欲)も盗まれた。

 専門店では1杯3万ウォン(3千円)を超える場合もあるが、訪れた店は、メスが1万5千ウォン(約1500円)だった。

 食いしん坊に優しいのは、市場だけではない。ソウルの繁華街・明洞(ミョンドン)地区は、シャネルやグッチなど世界のハイブランドが並ぶ。そこに夕方になると、あちこちから屋台が集まってきた。

 キンパ(のり巻き)や、甘辛く炒めたトッポギ(餅)、日本では高級な二枚貝、タイラギをチーズと一緒に焼いたチョゲクイ…。漂う香りと色鮮やかな料理の姿が、食欲をつかさどる神経に直接働きかける。

 大半の商品は5千ウォン(約500円)以下だ。次々と手が伸びるのも仕方ない。

                 × × × 

 日韓関係がこじれた大きな要因に、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像がある。

 日本側は「外国公館に対する侮辱行為」などとして、移転を求めたが、今もそのままだ。午後9時過ぎ、大使館前を歩いた。像の近くにテントがあり、支援者と思われる人がいた。正面には警察車輌が並ぶ。しかし、道行く人々が像を気にする様子はない。

 訪韓中、日本人だからといって、明確な敵意を向けられる場面はなかった。それどころか、商店のやり取りでは、片言の日本語で話しかけられた。韓国・釜山市と姉妹都市関係にある福岡市の担当者は「国家間の外交関係と姉妹都市交流とは別だ」と語ったが、その通りだと実感した。

 国家間の問題で安易に妥協する必要はない。だが、気軽に訪問し、互いの姿に触れ合うことは、両国関係に重要だ。胃袋をわしづかみにされながら、そう感じた2日間だった。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ