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地震教訓に崩落防止の設計 再建進む阿蘇大橋、来年度完成

掛け替えの工事が進む阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)
掛け替えの工事が進む阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)

 九州有数の観光地、熊本・阿蘇地域にあり、熊本地震で崩落した阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)の架け替え工事が、令和2年度の完成を目指して進んでいる。地震の教訓を踏まえ、崩落防止の特殊設計が施された橋が、姿を見せつつある。

 全長206メートルの阿蘇大橋は、昭和46年に開通した。国道57号から、同村中心部や宮崎方面に向かって分岐する国道325号にあった。

 平成28年4月14日夜の「前震」には耐えたが、16日未明の「本震」で崩落した。橋の付近を車で走行していた大学生、大和晃さん=当時(22)=が不明になり、約4カ月後に下流で遺体で見つかった。

 橋は、たもとから途切れた。約70メートル下の谷底には、残骸とみられる鉄骨が散らばったままだ。

 当初、西側の山で発生した長さ約700メートル、幅約200メートルにわたる土砂崩れが、橋崩落の原因との見方が出ていた。

 だが、土木学会研究班は地震直後からの調査で、地盤の変形に気づいた。橋脚を支える地盤が、西側は約2メートル、東側は44センチ、橋中央部に向かって移動していた。

 学会は、地盤のずれで橋のアーチ部が圧縮され、崩落した可能性が高いとの見解を示した。

 県の管理だったが、再建工事は国が直接実施することになり、学識経験者らで構成する技術検討会を設置した。議論を経て村中心部へのアクセスの良い約600メートル下流での再建が決まった。

 ただ、本震を引き起こした布田川断層は黒川沿いにある。「断層は避けるのが常識」(検討会委員の北園芳人熊本大名誉教授)だが、地形的に回避は難しい。検討会は、強い揺れや断層のずれで崩落しない構造を条件に了承した。

 崩落を防ぐ構造は何か-。国土交通省の研究所と学識経験者らは、橋脚6本のうち、断層の推定位置に近い西側の2本を、橋桁との接合部の強度を弱める設計にした。

 熊本地震のように断層が動く力が加わると、ボルトが破断。橋桁がずれて力を逃し、橋脚や基礎の損傷を防ぐ前例のない仕組みだ。丁字形をした橋脚上部の幅も通常より計2・8メートル広げ、外れた橋桁を受け止めることにした。

 新しい橋は全長525メートル、橋脚の高さ97メートル(最大)の鉄筋コンクリート製。昨年本体に着工し、24時間の突貫工事が続く。高層ビルのようにそびえる橋脚が渓谷の東側に姿を現し、複数のショベルカーが斜面に張り付くように、地面を削ったり固めたりしていた。

 熊本地震で損壊し、今年8月に復旧した西原村の俵山大橋でも、破断しやすいボルトが一部に使われた。国交省九州地方整備局熊本復興事務所の増尾明彦工務第2課長は「阿蘇大橋の工法は、各地の橋の防災に活用できる可能性がある」と話した。

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