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【しずおか・このひと】掛け紙収集40年 韮山高校教諭・上杉剛嗣さん(59)

 ■趣味高じ生徒と伊豆半島PR駅弁

 鉄道旅のお供・駅弁。そんな駅弁を包む「掛け紙」に着目し、40年以上にわたって全国の掛け紙を収集している人物が伊豆にいる。県内有数の進学校・韮山高校国語教諭の上杉剛嗣さん(59)だ。全国各地を飛び回るなどして収集したコレクションは1万点を超える。そんな上杉さんはこのほど、自身が顧問を務める同高写真報道部が桃中軒(沼津市千本港町)と昨年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパークに認定された「伊豆半島ジオパーク」をPRする駅弁を共同開発。「(弁当に付いている)ジオマップを見ながら(ジオパークを)想像して食べていただき、実際に訪れてほしい」と呼びかけている。(石原颯)

 --駅弁の掛け紙を収集するようになったきっかけは

 「中学生の頃、北海道へ旅行した帰りにブルートレインに乗りました。そのときに食べた駅弁の掛け紙がきっかけです。ねぶた祭りの武者人形をあしらったもので、すごくきれいでした。次の日から祭りだったのですが、紙を持ち帰ることで参加したような気持ちになれる、とアルバムに貼ったのが最初でした」

 --掛け紙の魅力は

 「コンビニの弁当と駅弁はどこが違うかというと、コンビニの弁当は全部中が見えていますが、駅弁は掛け紙で隠れていて中身が見えません。車窓を眺めながら地場の特産品が使われているに違いないと思いながら開けます。開ける前のワクワク感を掛け紙が創出しており、その掛け紙をとっておくことで旅の思い出が追憶として残ります。吉田兼好が月というのは満月を見るよりも雲にかかった月を見た方がよい、あるいは月を直接見るのではなく照らされている葉っぱに映る月の方がよいといったことを言っています。見えないからいい、想像できるからいい、日本人ならではの美意識みたいなものが掛け紙には凝縮されているように思います」

 --掛け紙のコレクションを紹介する平成15年開設のホームページ「駅弁の小窓」は16日現在で累計約1170万ページビュー(PV)を誇っている

 「受験勉強で頑張っている生徒たちと心を一つにできるものはないか探る中で、当時はヤフーの登録サイトになることが一つのステータスであることがわかりました。ホームページを作ることに対して全く素人の私が大学受験で頑張る生徒たちと同じように寝る時間を削って膨大な資料をまとめ、最終的にヤフーの登録サイトになるから一緒に頑張ろうと約束したのが開設のはじまりです。駅弁をグルメとしてみる見方はありましたが、掛け紙に注目しているものはなかったので、テレビや新聞から取材依頼が入るなど反響がありました。昔は1日5千PVを下ることはないというときもありました」

 《顧問を務める写真報道部では探求活動に注力。昨年4月に認定された伊豆半島ジオパークのツアーを企画するなど魅力発信にも積極的に関わっている》

 --活動の一環として伊豆半島ジオパーク弁当が今年8月から販売されている

 「今年の春から伊豆半島ジオパーク推進協議会とコラボして、ジオパークをPRする『ジオトレイン』を半年間、走らせるといった取り組みをしました。それが9月末に終わるので、次の取り組みとして駅弁をやろうと。生徒が中心になり、部として伊豆の食材で何を使ってほしいかというアンケートを採り、桃中軒とすり合わせながら試行錯誤しました。鹿肉のミートローフを丹那断層風に見立てるなど、伊豆半島全域の食材を使いながら仕上げています。伊豆半島のマップにジオサイトを紹介するガイドブックも作りました」

 「駅弁だけではなく地元で活動をしていると、一度外に出てもいずれ地元に帰ってきて盛り上げたいという子が増えます。過疎が進む伊豆半島でそういう若い力が帰ってくるという気持ちを持っているのは素晴らしいことだと感じます。駅弁をプロデュースしたいという長年の夢も果たせた上、自分の趣味が教育に生かされたのはうれしいことです」

                   ◇

【プロフィル】上杉剛嗣

 うえすぎ・つよし 昭和35年7月31日生まれ。大学院在学中に臨床心理士として大阪府内の病院に2年勤務。不登校の子供と触れ合う機会があり、専門性を生かして教育現場で不登校の子供を減らしたいと、教員を志した。休日になると駅弁を食べに全国を巡る。平成21年に「駅弁掛け紙ものがたり」、23年に「駅弁読本」を出版した。駅弁ファンによく知られている存在。三島市出身。

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