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発達障害者の夫や妻に多く発症 「カサンドラ症候群」横浜で勉強会 ストレスで鬱や睡眠障害に

 「奴隷のようでした」。白川綾子さん(47)=仮名=は、時に異常とも思える夫の要求に応え続け、結婚から7年目に鬱病を発症した。アスペルガー症候群など発達障害のある夫や妻との意思疎通がうまくいかず、長年のストレスから配偶者が心身の不調に陥る「カサンドラ症候群」を訴える人が増えている。横浜市で6月、カサンドラ症候群を訴える女性たちが、悩みを打ち明ける茶話会が開かれた。集まった7人の中には白川さんの姿もあった。

 カサンドラ症候群の主な症状には睡眠障害や抑鬱状態があるが、全身に痛みが生じる線維筋痛症やがんになったというケースもある。パートナーと正常なコミュニケーションが取れない状況は周囲からは分かりにくく、専門家は「大人の発達障害への理解を深めることが必要」と訴える。

 ◆理由も分からず

 室内の温度は24度、湿度は60%に。白川さんのあらゆる日用品は、夫が指定した銘柄以外を買うことは許されない。指示通りにできず、土下座と反省文を強要されたこともあった。

 「夫は私をいじめているのではないか」。白川さんは鬱病を発症後、心療内科を転々とし、夫によるモラルハラスメントを訴えた。しかし、医師らは「大げさだ」と取り合わなかったという。

 夫との関係改善を模索しながらも「理由も分からずいじめを受ける、生き地獄のような日々」に光が差したのは、結婚から14年目の平成27年。カサンドラ症候群の勉強会・茶話会の開催告知を、インターネットで偶然見つけたのがきっかけだった。

 白川さんは27年以降、定期的に茶話会に参加し、少しずつ体調に改善の兆しが見えてきた。発達障害者は、自分の気持ちや感情を言葉で表現したり、相手の立場に立って物事を考えたりするのが苦手な人が多い。

 こだわりが強かったり、逆に全てが「受け身」で決められなかったりするケースも多い。皮膚の過敏症で、空調に極めて敏感になってしまう人もいる。

 ◆悩みを打ち明け合い

 「日常会話が成立しない」「家庭の問題は全て人ごとで妻に丸投げ」。茶話会では夫の発達障害からくる夫婦間のコミュニケーションの断絶に苦しむ妻たちの訴えに、他の当事者は熱心に耳を傾けた。

 主催は自助グループ「フルリール」。代表の真行結子さんもかつて、夫の発達障害に悩み、カサンドラ症候群に陥った経験を持つ。「当事者が悩みを打ち明け合い、現状を打開する糸口を探れる場をつくりたい」と、26年に立ち上げた。

 自助グループは各地にあるが、全体の数は限られ、大人の発達障害を診られる専門医も少ない。発達障害に詳しいハートクリニック横浜の柏淳院長は「障害特性は変わらないが、家族側の対応が変わればパートナーとの関係性が改善する可能性もある」と指摘。「早期にカサンドラ症候群の状態に気付いてもらい、社会全体で当事者が生きやすい環境を整えることが必要だ」と話す。

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【用語解説】アスペルガー症候群

 広い意味での「自閉症」の一つ。最初に症例を報告したオーストリアの小児科医、ハンス・アスペルガーの名前にちなんでつけられた。自閉症の3つの特徴のうち「対人関係の障害」と「パターン化した興味や活動」の2つの特徴を有し、コミュニケーションの目立った障害がないとされる。言葉の発達の遅れがない点が狭義の自閉症と異なる。

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【用語解説】カサンドラ症候群

 アスペルガー症候群などがある人の家族や身近な人が、コミュニケーションをうまく築けないために起こる二次障害のこと。現在までのところ、明確な診断基準は定められていない。

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