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【ZOOM東北】宮城発 養殖ブランド魚「伊達いわな」、新しい特産品へ手応え

 河川の上流域に生息し、渓流釣りで人気のイワナ。宮城県栗原市では、難しいとされたイワナの養殖に日本で初めて成功し、「イワナ養殖発祥の地」となっている。こうした経緯を背景に、県では養殖イワナの地域ブランド化を目指し、年中出荷が可能な「伊達いわな」を開発した。通常のイワナより成長が早いのが特徴で、宮城の新しい特産品として県や生産者らが認知度向上や販路拡大に努めている。 (石崎慶一)

 ◆年中出荷が可能

 伊達いわなは県水産技術総合センター内水面水産試験場(大和町)が開発した「全雌(ぜんめす)三倍体イワナ」のブランド名。卵をぬるま湯に浸すことで、染色体を通常の2組から3組に増やし、卵を持たないように改良した。卵に行くはずの栄養が魚体に回されることで通常のイワナに比べて倍近くの速さで成長し、生後2~3年で体長50センチ、体重1キログラムほどに育つという。

 同試験場は平成14年に全雌三倍体イワナを作り出す技術を確立。その後、県内の生産者と連携して量産化に取り組み、26年から出荷が始まった。生産者で作る「伊達いわな振興協議会」のブランド管理指針の規格で、体重800グラム以上のものが伊達いわなを名乗ることができる。

 通常のイワナは産卵期の秋前後は卵に栄養を取られて肉質が低下し、味が落ちる時期が生じる一方で、伊達いわなは卵を持たないため肉質は変わらず、年中出荷ができる。また、魚体が大きいことから切り身にしやすく、料理のバリエーションも広がるという。

 県は28年度から販路拡大支援などの事業を展開。今年8~9月には「リビング仙台」のウェブサイトなどで県内で伊達いわな料理を提供する38店舗を紹介するなどのキャンペーンを実施した。スタートを前にしたイベントが7月末に仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で開催され、生産者や関係者らが伊達いわなを使ったムニエルなどの西洋料理と握り寿司(ずし)などの日本料理を試食した。

 料理を担当したホテルの後藤博甲(ひろき)副総料理長(55)は「伊達いわなは川魚独特のクセがなく、養殖なので寄生虫の心配もなく生で食べられる」と高評価。刺し身をそのまま食べると、ほのかな甘さが感じられるが、料理用の伊達いわなを提供した白石市の「杜のいわなや」の村井雄さん(60)は「食べた人からは川魚のイメージが変わったといわれる」と話す。

 昭和46年に父親が日本で初めてイワナ養殖に成功した栗原市の「数又養魚場」の数又貞男さん(67)は伊達いわなの養殖も手がけ、自ら経営する料理店で刺し身などにして出している。数又さんは「伊達いわなはお客さんから『いつ食べてもおいしい』と好評で、年に何度も足を運ぶ人もいる」と笑顔を浮かべる。

 大和町の伊達いわななどの生産、販売会社「菅原」の大和場長、菅原哲さん(44)も「伊達いわなというブランド名と『おいしい』という評価が着実に広がっていると実感している」と手応えを語る。

 ◆販路拡大が課題

 県水産業基盤整備課によると、伊達いわなの生産者は当初3人だったが、現在の県の認定生産者は7人。出荷量は平成26年が年間約3トン、30年は約6・5トンと増え、今年は10トンが目標だという。

 22日には産地の大和町で伊達いわなの提供店や直売所などを巡るバスツアーを実施。10、11月にも同町や栗原市、蔵王町の提供店や観光施設などで使えるクーポンをチラシに添付し、県民を産地回遊にいざなうキャンペーンを予定している。同課では「認知度向上と販路拡大が今後の課題」としている。

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