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翻弄された諫早干拓 最高裁審理差し戻し 「今回で解決したかった」開門反対営農者らさらなる長期化に落胆

国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防で仕切られた干拓地側調整池(奥)と有明海。中央は北部排水門
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防で仕切られた干拓地側調整池(奥)と有明海。中央は北部排水門

 安心して農業を続けられる日は、またも遠ざかった。国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、最高裁判決が13日、潮受け堤防排水門の開門命令を無効とした高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。干拓地で農業を営み、「開門されれば塩害で農地がだめになる」と危機感を抱いてきた人々は、法廷闘争のさらなる長期化に落胆し、改めて早期決着を求めた。 

(九州総局 小沢慶太)

 「本当は今回で解決したかった」

 干拓地の営農者でつくる平成諫早湾土地改良区の山開博俊理事長は、判決を聞いて肩を落とした。

 高裁差し戻しを予想はしていた。それでも、最高裁が開門を命じる確定判決を無効化してくれれば、長引く法廷闘争が決着し、安心して農業ができる。そんな期待も抱いていた。

 最高裁は今年6月、諫早干拓に関する別の訴訟で、開門などを求める漁業者側の上告を棄却し、開門を認めない判断が確定している。今回の差し戻し判決は、「非開門」の確定判決に影響を及ぼすものではない。それでも山開氏は「開門はないと安心はしているが、早くすっきりして農業に取り組みたい。ほとほと疲れた」と力なく語った。

 諫早の問題は「開門を求める漁業者VS開門を拒否する営農者」と単純化はできない。

 2審福岡高裁では、「開門しない代わりに、国が有明海の漁業振興へ100億円の基金を設ける」という和解案が浮上した。有明海沿岸の福岡、熊本、佐賀の各漁協は受け入れを決めた。

 だが、開門派弁護団が協議を拒否し、決裂した。今後、高裁が和解協議を促す可能性もあるが、開門派弁護団は、開門しないことや、基金を前提とした和解協議には乗らない構えだ。

 福岡有明海漁連の関係者は「過去には開門を求めて訴訟を起こした経緯もあるが、現時点では開門ありきではない」と漏らす。「これ以上、裁判を引き延ばしても無意味で、漁業者にとっても良くない」と訴えた。

 開門に反対する営農者側弁護団は13日、「改めて開門しない形で紛争を抜本的に解決することを強く望む」とのコメントを出した。山下俊夫団長は、長引く法廷闘争に「漁業者は相当疲弊しているはずだ。実際どれだけの人が現時点でも本当にあそこまで開門を求めているのか、疑問を持っている」と話した。

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