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【群馬県民の警察官】(中) 前橋署地域課無線自動車係主任・佐藤圭司巡査部長(60)

 ■「不断の努力」後輩にも伝える

 大学を卒業後、いったんは日用雑貨用品メーカーの営業職として社会人生活を始めたが、やりがいが感じられなかった。

 半年で見切りをつけ、「幼いころから男らしい仕事とあこがれていた」警察官を志した。父方、母方に警察官のおじがいた環境も背中を後押しした。「かっこいいスポーツタイプのパトカーにも乗りたかった」とも。

 巡査拝命から約37年。うち27年半を地域警察部門で務め、無線自動車係として14年超のキャリアを持つ。業務の間口は広い。110番や警察署への通報対応をはじめ、防犯の色合いの濃いパトロール、交通違反の取り締まり、酔っ払いの保護に、けんかの仲裁-。「テレビ番組で紹介されている『警察24時』のまんま」と笑う。

 出会うのは短気な人、理屈っぽい人などさまざまだ。「昔と比べると、警察の言うことに素直に応じてくれる人ばかりではなくなった」と感じる中、「丁寧な言葉遣いと誠意を持って接することに気を配る。そうすれば、大概の人は理解してくれる」と信じている。

 赤信号や一時停止無視など交通違反を検挙することも多いが、ときには「このままだと大事故になりかねなかった。捕まえてくれて、ありがとう」と感謝されることも。「私の仕事も役に立っているんだな」としみじみ思う。

 15年ほど前、無線自動車係の先輩に言われた言葉が忘れられない。

 「われわれの仕事は実績を挙げなくてはだめだ。結果が全てだ」

 先輩とは、第32回「県民の警察官」に選ばれた能登和夫さん(67)。仕事ぶりは、すさまじかった。休憩時間を削っての徹底した活動を目の当たりにした。「それまでは人並みに仕事をすればいいと考えていたが、意識がガラリと変わった」。署から示される目標の1・5倍ほどを自らに課した。

 「全部をクリアしてきたわけではないが、仮眠を割いたことも。やるという気持ちは、今でも持ち続けている」。不断の努力が494回の受賞歴につながり、先輩からの教えは自身の後輩にも伝えている。

 県の警察官にとって特別な出来事の日航機墜落事故が起きた昭和60年の夏は、管区機動隊に所属していた。着の身着のまま上野村に向かい、約2カ月間、遺体の収容作業を続けた。

 「無残な遺体の姿は今も思い出す。亡くなった人はもちろん、ご遺族も大変だろうと思った。(収容は)われわれにしかできない仕事だった」。強い責任感が体と心を支えた。

 来年3月で退職するが、27歳の長男が県警本部機動警ら隊で活動中。「本人からは何も聞いていないが、おやじの背中を(追いかけた)ということかなあ」。柔らかい笑みを見せた。 (椎名高志)

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