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【上州この人】前橋工科大教授・善野修平さん(60) 酵母で地域活性化につなげたい

 県のブランドイチゴ「やよいひめ」。その酵母を使って醸造したビールが今年2月にクラフトビール品評会「ジャパン・グレートビア・アワーズ(JGBA)2019」で金賞を受賞し、商品化された。酵母を採取したのは、前橋工科大教授の善野修平さん(60)。当初の目標はパンづくりだったが、試行錯誤を経て異色のビールが誕生した。県産の農産物から取り出した酵母で商品を開発し、地域活性化につなげようと意気込む。(橋爪一彦)

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 「オール群馬の小麦と酵母を使ってパンなどの開発販売ができないか」

 農林水産省と経済産業省の支援事業で、前橋工科大は平成26年から28年にかけて、県農業技術センター、ピザ窯メーカーの増田煉瓦(れんが)(前橋市)と共同研究を行った。同センターが育成した、やよいひめとリンゴ、ブルーベリーの3種の果実の酵母を培養したところ、活性が断トツだったのは、やよいひめだった。

 「研究室の中がイチゴの甘い香りで充満した。これでパンを焼こう」

 天然酵母を生地に練り込みパンを焼くことはできるが、商品として継続的にパンを焼くには、乾燥にも冷凍にも耐性のある酵母が必要だ。

 やよいひめの天然酵母液から8株の酵母を分離し、乾燥耐性と冷凍耐性があるか実験した結果、2つの条件をクリアできる酵母はなかった。

 パンづくりを中断し、日本酒づくりに目標を変更。8株の酵母を使いテストしたが、全ての酵母にいやな香りがあり、日本酒にも適さないことが判明した。

 そんなときに出会ったのが、月夜野クラフトビール(みなかみ町)の醸造担当、斎藤季之さん(42)。「イチゴのビールに挑戦したい」と思いを伝えた。協力を快諾した斎藤さんに昨年8月、8株のやよいひめ酵母を託した。

 県からの補助金を受けてテストを繰り返し、ビールに適し、甘い香気性が特徴の酵母を選び出した。発酵が遅く、普通は2日ほどの発酵が10日以上かかる扱いにくい酵母だったが、日本酒では支障となった雑味がビールには向いていた。ホップと麦芽液の配合を変え、甘味を出した。

 今年1月、フルーティーなビールが完成。2月に「JGBA2019」で金賞を獲得し、「Princess March RONA(プリンセスマーチロナ)」として商品化した。観光客の評判は上々だ。

 「群馬産の酵母を使って、ネット社会で全国に売り出せる商品を作りたい」。そう目を輝かせる。

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【プロフィル】善野修平

 ぜんの・しゅうへい 昭和34年6月9日、兵庫県姫路市まれ。60年東京理科大大学院修士課程修了。平成19年前橋工科大工学部准教授、21年教授。現在は分子生物学研究室を運営し、地域連携の推進を担当。前橋市のバラ「あかぎの輝き」の酵母を使った日本酒づくりにも取り組み、県の花「レンゲツツジ」の酵母を利用した商品開発も探る。

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