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【ズーム東北】山形発 産官学プラス農家でチャレンジ 落花生を新たな特産物に

 千葉、茨城の両県で国内生産量の80%を占め、寒冷地の東北地方では栽培が不向きとされる「落花生」。昨年から始まった“産官学プラス農家”によるプロジェクトの一環で、山形県金山町の農家が落花生の栽培に取り組んでいる。昨秋収穫した落花生は予想より少なかったものの、山形市の菓子メーカー「でん六」が商品化を決めるなど、町の新たな農産物としての期待が高まっている。(柏崎幸三)

 ◆肥料代など全額補助

 農業の主力がコメの金山町では高齢化が進み、キャベツやカボチャなど重量作物が高齢の農家には栽培しづらいことから、落花生栽培に活路を見いだした。昨年4月には、金山町、でん六、山形大東北創生研究所の3者が落花生栽培による新産地形成を目指す「地域農業振興協定」を締結。地元農家を加えての“産官学プラス農家”によるプロジェクトがスタートした。

 金山町も国の転作奨励金が受けられるように落花生を「重点振興作物」に指定。タネ代や肥料代などを全額補助し、農家の初期投資をできるだけ抑えて取り組みやすくした。

 山形大東北創生研究所では、金山町に隣接する真室川町で平成28年から2年間にわたり、千葉県や茨城県と同じ栽培方法で落花生の試験栽培を実施し、収穫に成功した。同研究所の村松真所長は「豪雪地でも千葉、茨城と同じ栽培方法で(栽培が)できると確信した」と強調する。

 金山町の鈴木洋町長は「新作物で農家の活力につなげたい」と話し、でん六の鈴木隆一社長も「国内生産の豆で地域貢献ができれば」と力を込める。

 ◆売り先決まり安心

 金山町の農事組合法人「いずえむ」の青柳栄一代表理事ら地元農家8人は昨年5月、0・5ヘクタールの農地で2・5トンの収穫を目指して落花生栽培をスタートさせた。

 新しい農作物生産を始めるのにあたって不安を抱いていた生産者だったが、生産した落花生は一次加工後、でん六が全量買い取ってくれることで不安が解消された。

 落花生栽培に取り組む青柳直希さんは「売り先がでん六に決まり、生産者は安心して新しい作物の栽培を始められた」と振り返る。

 でん六も菓子製造に使う豆は米国、中国の海外産が圧倒的だったが、金山町産による落花生の商品化に鈴木社長は「国内産の豆を使い、商品化することで地域農業の振興につながることがうれしい」と話す。

 ◆目標収穫量も拡大へ

 昨年10月に収穫した金山町の落花生は約1・1トン。千葉などの落花生と違い、黒い点状のシミがない白い殻の落花生になった。村松所長は「金山町の土壌は地力があり、シミなどが出ないのでしょう」と説明。商品化した落花生は、生産者で構成する「金山町新産地開発協議会」の発案で「山形・金山町産 落花生 ビーナッツ」に決まった。

 ビーナッツの「ビ」は「美(ビューティフル)」の意味が込められた。実はやや大きく少し長めで、食べてみると渋さが少ない。でん六では落花生の特徴を生かし、実の中までしっかりと熱を通す焙煎方法を選んで商品化したという。

 2年目に入った金山町の落花生栽培だが、青柳代表理事は「ビーナッツでペーストや豆菓子、ソフトクリームに混ぜるなどアイデアはいっぱい」と胸を躍らせる。栽培面積も1・5ヘクタールに増やし、収穫量の目標も3・5トンに設定した。

 村松所長は「1年半で商品開発までできたのは異例」と胸を張る。金山町産の落花生が、町の新たな“名物”となる日も近そうだ。

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