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はためく旭日旗に目頭熱く 緊迫する中東派遣の海自護衛艦 クルーズ船に並走、シーレーン見守る

弥登章氏が船上から撮影した護衛艦「あさぎり」
弥登章氏が船上から撮影した護衛艦「あさぎり」

 米国とイランの対立など緊迫度が増す中東の海を4~5月、1隻のクルーズ船が通過した。日本人乗客が現地で目にしたのは、自衛艦旗を掲げた日本の護衛艦だった。安堵(あんど)と感動で日の丸の旗を振る人もいた。乗客の一人、北九州市の男性は「感謝の気持ちで目頭が熱くなった」と語った。(九州総局 大森貴弘)

 クルーズ客船「サン・プリンセス」は4月10~12日、横浜や神戸など日本各地で客を乗せ、世界一周旅行に出発した。米国のクルーズ会社が運航する船を、日本の旅行会社がチャーターした。約1500人の乗客のほとんどは、日本人だった。

 航海は順調だった。乗客は台湾やシンガポールで観光を楽しみ、船内の食事やショーで時間を忘れた。

 ■高まる緊張と不安

 船は中東に向かった。4月28日、アラブ首長国連邦のドバイに入港した。直前の22日、米国がイラン産原油の全面的な禁輸を発表していた。

 航海に支障はなかったが、緊張した空気は船内に伝わっていた。乗客の一人、北九州市小倉北区の会社経営、弥登(みと)章氏(71)は「言葉に出しても不安が解消するわけではありませんから、皆黙っていた。でも、じわじわと不安感は高まっていた」と振り返った。

 船はドバイからホルムズ海峡を過ぎ、アラビア半島の南側にあるオマーン・サラーラに入港した。5月2日だった。

 ここから先、紅海からスエズ運河を抜ける。だが、その前に、海賊が問題となったアデン湾を通る。ここに至るまでに船内では、万一に備えて避難訓練も実施された。

 乗客の不安はサラーラで除かれた。海上自衛隊の護衛艦が、出迎えるように停泊していたからだ。艦尾には、大きな自衛艦旗(旭日旗)がはためいていた。

 「日本人を守るためにここまで来てくれている。思わず、目頭が熱くなりました」(弥登氏)

 日本政府は平成21年から、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策として海自を派遣している。護衛艦と航空機で、日本に関係する船舶を見守る。現在は、護衛艦「あさぎり」が任務に就く。

 ■日の丸振る乗客

 「あさぎりが護衛してくれます」。船内放送も流れた。大勢の乗客が甲板から身を乗り出すようにして、手を振った。持参した日の丸を掲げた人もいた。

 「あさぎり」は、アデン湾を抜けるまでの数日間、クルーズ船をエスコートするように、ぴったりと寄り添った。

 弥登氏は今回、妻の真美代氏(69)とともに、長年のあこがれだった世界一周クルーズに参加した。

 「こちらはレジャーで行っているのに、自衛隊は命を張ってくれている。誇りに思うとともに、感謝してもしきれませんでした」

 船内では、食事などで乗客が顔を合わせるたびに、「感動した」と、あさぎりの話題で持ちきりになった。

 弥登氏はその後、欧州や米国などをめぐり、7月に帰国した。

 ホルムズ海峡では6月、日本の海運会社が運航するタンカーが攻撃を受けるなど、緊張の度合いは日を追うごとに高まる。日本の海上交通路(シーレーン)を守るため、ホルムズ海峡への自衛隊派遣も検討される。

 弥登氏はこう訴えた。「中東では、クルーズ船から見えるだけでも、日の丸をつけた民間の船がたくさん行き交っていた。ほっといてはいけないと思う。あの場所に居合わせた乗客は皆、私と同じ気持ちではないかと思います」

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