PR

地方 地方

【被災地を歩く】気仙沼・大島に民間商業施設 “田舎の時間”過ごせる場に

 東日本大震災は11日で発生から8年5カ月。震災で大きな被害を受けた気仙沼市の離島・大島で先月末、民間商業施設「野杜海(のどか)」が開業した。今年4月に本土と島を結ぶ「気仙沼大島大橋」が完成。「野杜海」は土地の整備が遅れて足踏み状態が続いていたものの、夏の観光シーズン真っ盛りになんとか開業にこぎつけた。待望のオープンに商店の店主らは「これがスタートライン」と意気込む。

 ◆ターミナルも整備へ

 高さ7・5メートルの防潮堤の上に整備された「野杜海」は木造平屋建てで延べ床面積約363平方メートル。かつて本土と大島を往来していたフェリーの発着所があった浦の浜地区に建設された。芝生の広場もあり、海や本土を見渡すこともできる。

 同施設を運営するのは、同地区で被災した商店店主らで出資した合同会社「野杜海」。カフェやラーメン店など6店舗が先行オープンした7月26日に開業式が行われた。

 市でも観光案内所や直売コーナーを備えた交流施設「(仮称)大島ウェルカムターミナル」を施設の隣に整備予定。今年度中にも供用を開始する予定だ。

 ◆紆余曲折の開業

 オープンした「野杜海」だが、開業までは一筋縄ではいかなかった。

 市は当初、橋の開通に合わせて商業施設とターミナルのオープンを予定していたが、県道工事の遅れや地盤の沈下が収まらないとして平成29年11月、施設のオープンが令和2年6月にずれ込むと発表。その後、県と市が工程を見直して2年3月に完成を前倒しする案を示した。

 ある島民の50代女性は「本当に完成するのか、半信半疑だった」と振り返る。地元住民によると、造成地はもともと田んぼで、土地の脆(ぜい)弱(じゃく)性を指摘する声も多かった。それだけに、昨年12月という造成の着手時期に「これで間に合うかどうか分からない」との不満もくすぶっていた。結局、ターミナルの完成を待たずに「野杜海」が先行オープンする形となった。

 施設を運営する合同会社「野杜海」代表、小山晴幸さん(61)は「紆余(うよ)曲折あったので、(開業は)感慨深い」と語る。

 ◆観光客誘致の拠点に

 ただ、工期の遅れにより、橋の開通直後の5月の大型連休の客を取り込めなかった。それでも、小山さんは「『野杜海』は未来への一歩だと位置づけている」と前を向く。大島では住民の高齢化も著しいだけに「有形無形のものを残すのが使命だ」と語気を強める。

 もともと自然が売りの大島。リアス式海岸を望む亀山(標高235メートル)は「緑の真珠」と呼ばれ、春にはツバキの花が咲き誇る絶景スポットでもある。小山さんは「のんびりゆったり“田舎の時間”を過ごして、日々の糧になるような時間を過ごしていただければ」と期待している。

 折しも先行オープンとなった7月26日は、同市魚市場前でトレーラーハウス商店街「みしおね横丁」が開業。銭湯や多彩な飲食店が軒を連ねている。本土と離島の2拠点が、復興に向けた観光客誘致への役割を果たしていくことを期待したい。 (千葉元)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ