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88人の戦時下体験紹介 群馬町元教育長・鈴木越夫さん(75)が第5集出版 「驚きの内容」次世代へ

 戦争の真実や戦時下の苦難を乗り越えてきた人たちの体験を伝える「戦時下に生きた青少年の体験記-戦後74年の証言『生の声』」を、群馬町(現高崎市)の元教育長、鈴木越夫さん(75)が自費出版した。「戦時中の記憶を記録として残し、次代を担う若者に伝えていく」との思いで出版を続け、今回で戦時下体験記は5集目。終戦74年を迎える夏、平和について改めて考えるきっかけになりそうだ。 (椎名高志)

 鈴木さんは平成26年からほぼ毎年夏に戦時下体験記の出版を重ね、昨年8月には第1集「陸軍前橋(堤ケ岡)飛行場と戦時下に生きた青少年の体験記」を原作にしたドキュメンタリー映画「陸軍前橋飛行場-私たちの村も戦場だった」も公開。戦争の実相とともに歴史の真実を記録する公文書の管理のあり方も問う作品として、注目を集めた。

 鈴木さんは「戦争になると世の中がどう傾いていくか、人々がどういう暮らしを強いられるかを映像で伝え、価値あるものだった」と振り返る。

 第5集では、88人の体験が紹介されている。特筆すべきは、中之条町出身で千葉県市川市に住む女性が昭和60年から嬬恋村の姉に毎日送り続けた絵手紙だ。その数は7千枚にのぼり、「昭和・平成の記憶遺産」とも称される。その中から鈴木さんが戦時下の世相が表れている32枚を選んで掲載した。

 表紙も飾る60年8月5日の作品は、当時からちょうど40年前に伊勢崎市で目撃した前橋空襲の様子。幾筋も走る探照灯と逃げる人が描かれている。終戦後、家人と「戦争に負けてよかった」などと語り合う場面も収められている。

 「絵が付いているから、情景がはっきりわかる。すべてが驚きの内容」と、鈴木さんは話す。

 中里村(現神流町)の男性は役場で兵事主任を務めた体験を証言。赤紙(召集令状)の交付や出征兵士の見送り、戦死公報の交付、遺骨の引き取り…。「戦争は愚かなことであり、してはならないと強く感じている」と記している。

 このほか、12歳で父母、戦争孤児の女児とともに混乱の満州から引き揚げてきた前橋市の男性の体験、爆撃を受けている中島飛行機小泉工場や前橋市中心地の焼け跡の様子などをとらえた米国立公文書館所蔵写真も紹介されている。

 第1集から数えて、戦時下体験を収録した人は400人を超えた。鈴木さんは第5集を一つの区切りと考えているというが、「『頑張れ』という激励も多い。さらに出版するなら、数年かけてじっくり取り組みたい」と話している。

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