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満天の星に町おこし願う 南阿蘇村など観測施設を整備、訪日客も増

熊本県南阿蘇村の「南阿蘇ルナ天文台・オーベルジュ森のアトリエ」の夜空(同施設提供)
熊本県南阿蘇村の「南阿蘇ルナ天文台・オーベルジュ森のアトリエ」の夜空(同施設提供)

 星空を観光の目玉としてアピールする動きが盛んになっている。天文台を備えた宿泊施設が人を集め、旅行会社はツアーを企画する。自治体は満天の星を宣伝して町おこしに取り組む。猛暑でも涼しくなる夜には楽しめることや、ナイトタイムエコノミー(夜の経済活動)の波も後押しし、天文ファンの裾野が拡大してきた。

 プラネタリウムを備えた宿泊施設で、星を満喫できるのが熊本県南阿蘇村の「南阿蘇ルナ天文台・オーベルジュ森のアトリエ」だ。夜は巨大な天体望遠鏡をのぞいたり、星の知識が豊富な「星のコンシェルジュ」の解説とともに屋外で星を眺めたりできる。アジアを中心に訪日客も増えている。

 高野敦史支配人は「阿蘇の人には当たり前の夜空だが、都会の人には貴重な体験になる」と話す。

 日本旅行は、星空や宇宙に親しむ旅行商品に力を入れる。6月に催行した女性向けのツアーは勤務後でも参加しやすいように金曜日の夕方に東京駅を貸し切りバスで出発し、千葉県香取市のアウトドア施設に泊まる1泊2日の行程にした。当日は曇り空だったが、宇宙に関するクイズやヨガ、バーベキューも組み込んだプログラムを満喫。東京都内に住む女性会社員(40)は「いつもとは違う夜を過ごせ、すごく楽しい」と満足げだった。

 星空を売りにした町おこしも活発だ。「日本一の星空」をうたう長野県阿智村ではオフシーズンのスキー場を活用し、ゴンドラで標高1400メートルまで上がって星を眺めるツアーを開催。照明を一斉に消すと視界いっぱいに星が広がり、参加者から感嘆の声が上がる。昨年は約15万人が参加した。

 鳥取県は「星取県」と称し、美しい夜空をアピールする。星空観賞に適した場所を地図で示すアプリを出し、コメの新品種に「星空舞」と名付けるほどの気合の入れようだ。

 官民は平成29年、天体観測や宇宙関連施設の見学を取り入れた旅を広めようと宙ツーリズム推進協議会を設立し、宇宙の魅力を発信している。

 企業や自治体の天体観測イベントを企画し、望遠鏡を貸し出すのは光学機器メーカーのビクセン(埼玉県所沢市)だ。地域活性化やナイトタイムエコノミーの機運が追い風となり、30年度は約200件の企画に携わった。猛暑だった昨年夏は、商業施設から「昼間は人の動きが鈍いため、夜にできる催しはないか」との相談も相次いだ。

 星空は全国どこでも眺められるだけに、都築泰久企画部長は夜空の下で特産品を味わったり、地元の民話を交えて星座を解説したりと「知恵を絞り、特色を出すことが顧客を呼び込む成功の鍵を握る」と強調している。

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