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長崎・天草キリシタン遺産登録1年 信仰と観光の両立模索 地元に「おもてなし疲れ」も

大浦天主堂を案内する「長崎巡礼センター」事務局長の入口仁志(左)
大浦天主堂を案内する「長崎巡礼センター」事務局長の入口仁志(左)

 キリスト教禁制と独自信仰の歴史を伝える「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本)が、世界文化遺産に登録されて1年余りが経過した。訪問客が増え、地域活性化が期待される一方、観光と信仰の場の保護との両立が課題となっている。過疎化が進む地域もあり、観光客の過度な流入は、住民を疲弊させるとの懸念も出ている。

 「信者が命懸けで信仰を守った場で、30秒黙想してみませんか」

 長崎市のNPO法人「長崎巡礼センター」の事務局長でガイドの入口仁志氏(73)が、ツアー参加者に呼びかけた。同市内にある構成資産、大浦天主堂を案内する前に、地元信者らが通う近くの教会に立ち寄った際だった。

 長崎県によると、世界遺産登録後の昨年7月から今年5月までの11カ月間で、延べ約88万人がキリシタン遺産を訪問した。おととし7月~昨年5月に比べ6割ほど増えた。

 県などは、信者や住民の迷惑にならないよう「教会内では静かに過ごす」など、登録前からマナーの周知に取り組んできた。入場者数を制限するため、ほぼ全ての教会について訪問前に連絡を入れるよう呼び掛けてきた。

 だが、禁止されている教会内での写真撮影や、事前連絡なしの訪問などのケースはまだあるという。入口氏は「教会が信者にとって大事な場所と分かれば、問題は起こらない」と話した。黙想を促すのも「祈りの場であることを体感してもらうため」だという。

 関係自治体などは登録に先駆け、一部を除く構成資産内の各教会に、訪問者の対応や建物の管理を担う「教会守」を導入した。主に地元の信者が務めるが、構成資産の多くは過疎化が進む地域にあり、中には人口数百人の島に立地する教会もある。

 長崎大の深見聡准教授(観光学)は「訪問者の増加は、地域の『おもてなし疲れ』を招く可能性がある。観光客が住民の親切心に依存するようでは、早晩立ち行かなくなる」と指摘した。その上で、入場料に応じて地元店舗の割引が受けられるサービス導入など、世界遺産効果を地域に還元する仕組みが必要だと訴えた。

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