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令和元年版「九州農業レポート」 スマート農業推進を 労働力不足でAI活用拡大急務

 九州農政局は、九州の農業情勢をまとめた令和元年版の「見たい!知りたい!九州農業」(九州農業レポート)を公表した。平成29年の農業産出額は、前年比0・8%増の1兆8356億円と7年連続で拡大し、畜産が好調だったのが伸びを牽引(けんいん)した。農家の高齢化や人手不足に対応するため、ロボットや人工知能(AI)を活用した「スマート農業」の導入推進が必要だと訴えた。

 農業産出額のうち、首位の45・3%を占めたのが畜産で8310億円となり、食肉の価格上昇が拡大の背景にある。次いで野菜が25・1%に当たる4616億円。一方、コメは10・2%の1864億円にとどまった。コメは30年産から生産調整(減反)が廃止されたものの、各県で代わりに生産の目安を示したこともあって30年産も作付面積は減少した。

 政府が力を入れる農林水産物・食品の輸出では、九州の港や空港からの輸出額が30年は957億円となり、前年から99億円上昇した。木材や水産加工品の伸びが大きかったほか、牛肉は38・0%増、サツマイモも37・7%増と好調だった。

 緑茶も拡大し、海外での日本食ブームを追い風に茶葉の輸出を積極的に広げてきた鹿児島堀口製茶(鹿児島県志布志市)の事例を紹介した。

 野生鳥獣による農産物の被害は減少しているが、29年度の九州の被害額は24億円と依然深刻だ。九州でイノシシとシカを解体して食肉などで利用する割合は全国平均を大きく下回ると指摘し、ジビエの利用拡大に向けて取り組みを強化する必要性を強調した。

 農山漁村に宿泊する「農泊」に関し、小中学校などの国内教育旅行で九州は29年度に約6万3千人を受け入れた。ただ、時期は4~6月と9~11月に集中しており、年間を通じた受け入れを課題に挙げた。

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 農業は高齢化を背景に深刻な労働力不足に直面しており、政府はロボットや人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)といった先端技術を採用した「スマート農業」を進めている。九州でも自動運転の田植え機などの実証事業が進んでおり、農業現場での拡大が急務だ。

 農林水産省の平成30年度の調査によると、全国の基幹的農業従事者のうち65歳以上が3分の2強を占める一方、50歳未満は約1割にとどまり、いびつな構成となっている。農業は人手に頼る作業や熟練者しかできない作業が多く、省力化や労働負荷の軽減が課題だ。

 政府は今年6月上旬、スマート農業を現場に普及させる施策と効果、導入に向けた行程を「農業新技術の現場実装推進プログラム」にまとめた。自民党は参院選の公約でも、スマート農業の推進を掲げた。

 国は生産現場での実証事業を進めており、九州では佐賀県での自動運転田植え機導入や、宮崎県でのセンサーを活用したホウレンソウ栽培、長崎県での各種データを活用したミカンの生産など15事業が選ばれた。

 九州農政局が昨年、農家に対するアンケートで「情報や通信技術などの活用に必要なこと」を尋ねると、多くの農家が「導入・運用コストが高くないこと」を挙げた。スマート農業の拡大には、低コストで利用できる仕組みの開発や、費用の助成制度の拡充などが必要になりそうだ。

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