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「勇気を持って」首相、改憲訴え 争点化避ける野党 自民も街頭では触れず 大分

街宣車の上で拳を突き上げる安倍晋三首相=11日、大分市
街宣車の上で拳を突き上げる安倍晋三首相=11日、大分市

 安倍晋三首相(自民党総裁)は11日、参院選(21日投開票)の公示後初めて九州入りし、激戦区の大分選挙区(改選1)で、公約に掲げる憲法改正を声高に訴えた。同選挙区には同じ日に、立憲民主党幹部も来援したが、年金問題などで政権批判を展開し、憲法には触れなかった。自民候補ですら、街頭で改憲に言及する場面は少ない。熱を帯びる選挙戦とは裏腹に、憲法改正をめぐる議論は盛り上がりを欠く。(九州総局 小沢慶太)

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 「(自衛隊をめぐる)憲法論議に終止符を打つ。しっかりと憲法に、自衛隊を明記する。未来に向かって、子供たちのために勇気を持って堂々と議論を進めていく!」

 安倍首相は、大分市中心部の商店街「ガレリア竹町」での街頭演説で、集まった多くの聴衆に訴えた。約15分間の演説で、党が掲げる公約のうち、真っ先に取り上げたのが憲法改正だった。

 安倍首相は令和2年の改正憲法の施行を目指す。党も参院選の公約で、9条への自衛隊明記など4項目の改憲案を掲げた。

 参院選(改選124議席)で自民、公明両党は72議席前後を獲得する勢いだ。だが、「改憲勢力」は国会発議に必要な3分の2を割り込む可能性がある。それだけに、首相の訴えには熱がこもる。

 ただ、自民党の候補者に、安倍首相ほどの熱量は感じられない。首相に先立ってマイクを握った自民現職の礒崎陽輔氏(61)は「もっと皆さんが景気の回復を実感できるようにしなければならない。お年寄りも若い人もみんなにっこりできる日本にしていく」と、景気対策や子育て支援などを訴えたが、憲法改正に触れることはなかった。

 礒崎氏は首相補佐官を務め、安倍首相に近い。平成24年の党憲法改正草案の起草に関わるなど、改憲論議にも精通している。それでも、集会では下村博文・党憲法改正推進本部長を招くなど、改憲への理解を求めるものの、街頭で言及する場面は見られない。

 陣営幹部は「じっくり話を聞いてもらえるハコ(集会)では、ちゃんと訴えている。ただ、時間の限られる街頭では景気回復などが優先だ」と説明する。

 一方の野党側は、安倍首相と同じ土俵に乗るまいと、憲法改正の争点化を避ける。

 安倍首相の街頭演説の約1時間前。立民の蓮舫副代表が同じ大分市で、無所属の野党統一候補、安達澄氏(49)の応援に声をからした。

 「老後に2千万円が必要だとした報告書を麻生(太郎)大臣が受け取らないことで、国民の不安は取り除かれたのか」。金融庁金融審議会ワーキンググループの報告書に端を発する年金問題で、安倍政権を追及した。

 安達氏も、呼応するように「この国の政治や行政はおかしくなっている。国民の方をちゃんと向いた政治を取り戻す」と声を張り上げた。2人が憲法を話題に上げることはなかった。

 蓮舫氏は取材に対し「(憲法で)縛られる権力者が改正というのはおかしい。(改憲は)国民から出るものだ」と、現状は改憲の機運が乏しいとの認識を示した。その上で、「今回の争点は明らかに憲法ではない。年金だ」と言い切った。

 先の通常国会で、実質的な憲法改正議論は衆院憲法審査会での1度だけだった。それも改正の是非を問う国民投票の際のCM規制のあり方に関し、参考人質疑を実施したに過ぎない。

 自民側は、国会での議論が遅々として進まない要因に、野党第1党である立民の枝野幸男代表の消極的な姿勢を挙げる。

 憲法改正は国会議員の3分の2以上の賛成によって発議され、最後は国民投票によって決まる。国民の判断材料となる議論すらしないのは、国会議員の責任を放棄しているといえる。

 安倍首相は演説でこう呼びかけた。「責任を持ってしっかり憲法を議論していく政党か。あるいは責任を放棄して全く議論すらしない政党か。それを決める選挙でもある」

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