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アオウミガメ、助けてもらった恩返し?鳥取県立ジオパーク館の入館者増やし帰る

 昨年11月、鳥取県岩美町沖の定置網に1匹のアオウミガメの子供が迷い込んだ。荒れやすい冬の日本海では生きられない恐れがあり、同町の「県立山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館」が暖かくなるまでとして保護した。アオウミガメは普通は海草を食べるというが、こちらは魚を食べる食いしん坊。愛嬌(あいきょう)を振りまくようなしぐさが人気を集めたが、やがて別れの日が。町民らの見守るなか、迷子のアオウミガメは海へと帰っていった。

 保護されたのは昨年11月16日。同町の羽尾岬近くの定置網に掛かり、漁師が自然館に持ち込んだ。

 環境省のレッドリストで「絶滅危惧II類」(絶滅の危険が増大している種)に分類されているアオウミガメは、主に太平洋側の南の海に生息。鳥取県内では年に2、3回死んだ状態での漂流はあるが、生きた状態で保護されるのは珍しい。

 保護した直後のアオウミガメの甲羅の長さは44センチ。5~10歳ぐらいの子供の雌で、「情が移るから」と名前はつけなかった。

 同館によると、アオウミガメは体内の肉や脂肪が「青い(緑色)」が、海草や海藻を食べているため、その色素が脂肪に反映されているのではないかといわれている。

 保護したアオウミガメも当初はワカメを食べていたが、1カ月が過ぎたころヒラメをかじり、おいしかったのか、次々に魚たちを襲って食べるようになった。

 このためアオウミガメを魚と離し、冷凍のアジをエサとして与えた。一度に8匹を平らげることもあったという「食いしん坊」だが、海に帰れば動く魚を捕まえるのは至難の業。そのため同館では食事の際のワカメの量を少しずつ増やし、本来の食生活に戻す努力を続けてきた。

 ◆町民が見送り

 そんなアオウミガメは水槽から人を眺めるようなしぐさが愛らしいと話題になり、連日、多くの親子連れが同館に来場することに。昨年11月~今年5月の来館者は約1万6千人と前年の倍近くになった。関係者には、助けた恩返しと感じられたかもしれない。

 しかし、別れの日はやってくる。

 6月2日、放流場所の牧谷海水浴場(岩美町)には親子連れら約250人が詰めかけた。保護してから7カ月の間に4センチほど大きくなった甲羅をさすり、別れを惜しんだ。

 ケースから出されたアオウミガメは戸惑った様子をみせ、時々止まったり、人に近づいたりしながら、波打ち際まで砂浜をはっていった。駆けつけた町民らは並んで、カメが海に帰るための道をつくった。「頑張れ」「大きくなってね」。無事を願う中、アオウミガメは海に入ると、足をばたつかせながら、水中に消えていった。「無事に送り出せてよかった」。こう話した飼育を担当した同館の太田悠造学芸員の顔は、少し寂しそうだった。

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