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参院選あす公示 熊本選挙区、共産アレルギーきしむ野党共闘 熱量ゼロ「統一候補の思いない」

あす公示 日本青年会議所熊本ブロック協議会が主催したネット討論番組の収録で議論する阿部広美氏(右端)と馬場成志氏(中央)
あす公示 日本青年会議所熊本ブロック協議会が主催したネット討論番組の収録で議論する阿部広美氏(右端)と馬場成志氏(中央)

 参院選熊本選挙区(改選1)では4日の公示を前に、「野党共闘」にきしみが生じている。共産党との距離を縮める候補予定者に対し、共産党アレルギーを持つ他党や支持団体が、推薦を見送るなどした。同選挙区は、野党がいち早く統一候補を決めた、いわば野党共闘の「さきがけの地」だが、同床異夢のもろさを物語っている。(九州総局 中村雅和)

 「絶大なご支援に感謝している。どうかよろしくお願いします」。6月30日午後、熊本市内で開かれた国民民主党の県連大会で、野党統一候補として出馬予定の弁護士、阿部広美氏(52)=無所属=が声を張り上げた。

 だが、同党の支持団体、連合熊本の関係者の視線は、冷ややかだった。ある民間労組幹部は「熱量はゼロだ。組合員やOBには選挙区の話なんてしない」と吐き捨てた。

 阿部氏の参院選挑戦は、2度目となる。前回の平成28年も野党統一候補として立ち、民進、共産、社民3党の推薦を得た。結果は、自民候補に17万票差で敗れた。

 今回、30年11月に出馬表明した。31年3月には主要野党6党派の幹事長・書記局長会談で、統一候補に決まった。全国32ある1人区で、愛媛と並んで最速の決定だった。

 しかし、国民は推薦を見送り、立憲民主党も「邪魔はしないが、何もしない」(県連幹部)と静観する。

 結局、阿部氏を推薦するのは共産、社民2党だけの見通しだ。

 ◆「裏切り」に怒り

 「阿部離れ」の直接の原因は、今年4月の統一地方選だった。県議選、熊本市議選で、阿部氏は共産候補の応援にマイクを握った。この選挙区には、連合熊本の推薦候補がいた。

 連合熊本は昨年12月、連合本部も今年1月、阿部氏の推薦を決めていた。推薦に際しての政策協定には「統一選の候補者当選に向けて努力する」との文言があった。

 連合にとって阿部氏の行動は「裏切り」であり、関係者は烈火のごとく怒った。

 しかも、連合が阿部氏に不信感を抱いたのは、これが初めてではない。

 28年の参院選で、野党各党と阿部氏、連合は「運動に政党色は持ち込まない」との合意をした。その上で共産党県委員会も入った合同事務所を設けた。

 しかし、合同事務所が指揮した選挙戦では、終盤になると「憲法改悪反対」「脱原発」など、共産色の強い主張が目立つようになった。

 「約束が違う」。連合熊本は再三注文をつけたが、状況は変わらなかった。

 連合の母体となった「日本労働組合総評議会(総評)」と「全日本労働総同盟(同盟)」は戦後、共産系の組合と労働運動で衝突を繰り返してきた。

 それだけにOBを中心に、共産党へのアレルギーは根強い。

 だが阿部氏は今年2月にも、共産党が主催した演説会に出席した。

 連合熊本の古沢利光副事務局長は「阿部氏は政治の素人ではない。組合と共産党の関係は分かっているはずだ。それでも、彼女や後援者には響かないんだ」とこぼした。

 怒り心頭の連合は今年5月、阿部氏からの申し入れを受ける格好で、推薦を取り消した。

 政党も同じだ。ある立民県連幹部は「県議会でも共同歩調を取れない共産党と、どうして参院選で一緒にやれるのか。理解に苦しむ」と語った。

 ◆「どんな支持も」

 連合の姿勢に疑問を投げかける声もある。

 28年の参院選当時、民進党県連代表だった鎌田聡氏(県議)は「候補者は反社会的勢力でもない限り、どんな支持だってほしい。共産党でも何でも、運動をやってくれる人は大事だ。むしろ連合がもっと活動をしていれば、共産党の印象は薄まり、共闘はやりやすかっただろう」と述べた。

 鎌田氏は現在、地域政党「くまもと民主連合」の代表として、出身母体の情報労連を中心に、阿部氏支援の態勢づくりを急ぐ。

 一連の混乱に共産党は距離を置く。県委員会幹部は「われわれは条件を付けたりせず、ぶれずに阿部氏を支えていく。政治を変えるには、共闘しかない」と語った。

 選挙運動で頼りになるとなれば、候補者は共産党に近づく。それを立民や国民、民間労組が苦々しく眺める。全国各地の1人区で、同様の現象が起こりうる。

 「とにかく、統一候補なんて言ってもらったら困る。少なくとも、われわれには3年前から、そんな思いはかけらもない」

 連合熊本の古沢氏は、ため息混じりで語った。

                   ◇

 熊本選挙区には、自民党現職の元厚労政務官、馬場成志氏(54)=公明推薦=と、諸派新人の最勝寺辰也氏(38)も立候補を予定している。

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