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日田でJR日田彦山線復旧説明会 一部住民はBRT要望

大分県日田市で開かれた住民説明会。多くの住民が意見を述べた
大分県日田市で開かれた住民説明会。多くの住民が意見を述べた

 平成29年7月の九州北部豪雨で一部区間の不通が続くJR日田彦山線について、大分県日田市が29日に開いた説明会で、一部住民から、バス高速輸送システム(BRT)への転換を要望する声が上がった。豪雨から2年。自治体とJR九州のトップ会談でも前進が見えない状況に、住民はいらだち、一日も早い決着を求めている。(九州総局 高瀬真由子)

 説明会は、沿線の小中一貫校で開かれ、住民約150人が出席した。

 市の担当者が、JR九州が4月に復旧案として提示した3つの案を説明した。3案は、BRT▽一般道を走るバス▽収支改善を前提とした鉄道の復旧-で、それぞれの特徴や課題が示された。

 意見聴取では、沿線の大肥町自治会(78世帯)が、BRTを含むバス輸送を希望すると表明した。4月に開いた総会で意見をまとめたという。自治会の堀義幸氏(68)は「復旧会議の度重なるトップ会談でも、双方の主張は平行線をたどり、決着が見えない。高齢化が進む集落では、運転免許返納者が増える。家の近くで乗り降りできるバス輸送が、鉄道の代わりに実現できれば助かる」と主張した。

 別の女性も「鉄道の復旧を望むが、無理ならBRTを」と訴えた。複数の住民が、結論の先送りを問題視した。

 一方、地域の衰退を心配し、鉄道復旧を希望する意見も多く出た。

 終了後、原田啓介市長は記者団に「(BRT要望は)現実論としてあると思う」と述べ、案の一つとして検討する方針を示した。

 原田氏は福岡県側の添田町、東峰村と議論し、「年内には方向性を決めたい」と語った。

 ◆堂々巡り

 復旧をめぐるJR九州と自治体の協議は、被災から9カ月後の平成30年4月に始まった。

 議論は堂々巡りを続ける。

 不通区間の収支は、年間2億6千万円もの赤字(28年度)という。BRTなど鉄道「以外」の復旧も視野に入れたJR九州に対し、自治体は反発した。

 JR九州は、鉄道で復旧するなら、年1億6千万円の収支改善が必要として、自治体に財政負担などを要請した。

 これに対しても自治体側は「収支は全九州の鉄道ネットワークをみて、考えてほしい」と応じない姿勢を貫き、溝は埋まらなかった。

 小川洋福岡県知事、広瀬勝貞大分県知事、JR九州の青柳俊彦社長らのトップ会談(復旧会議)も、30年4月を皮切りに、これまで4回開かれたが、前進は見られない。

 結局、今年4月の復旧会議で、JR九州がBRTなど3案を示し、住民の意見を聞くことを確認した。これにより、日田市での住民説明会が沿線として初めて開かれた。

 だが、福岡県の添田町、東峰村では、住民説明会の開催が決まらず、調整が続く。開催が鉄道廃線につながるのではないかとの危機感が強いからだ。

 ◆置き去り

 日田市の説明会では、着地点が見えない現状に、いらだつ住民もいた。無職男性(65)は「いつまでも何をやってるんだ」と語り、主婦(57)は「現実的に検討すればBRTだと思う。今の議論は利用者が置き去りになっている」と指摘した。

 BRTの場合、不通の添田(添田町)-夜明(日田市)の29・2キロの所要時間は49分で、鉄道の44分と、5分しか変わらない。運行路線やダイヤで住民の要望をできる限り反映させれば、鉄道より利便性が増す可能性もある。

 JR九州の青柳社長は今月26日の記者会見で「交通ネットワークそのものがなくなってしまうことが一番怖い」と述べ、バスも含め、有効な手段を探るべきだとの認識を改めて示した。

 被災から2年。交通網の将来像は見えず、沿線ではバスによる代替輸送が続く。リーダーシップの欠如による結論先送りに、住民は失望している。

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