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サクラエビ不漁、取りすぎが主因 東海大元教授の鈴木氏に聞く 静岡

 国内では駿河湾のみで漁が許されているサクラエビの記録的不漁。秋漁の水揚げゼロに続き、春漁の漁獲量は85・3トンと2年連続で過去最低を記録した。資源回復の鍵は何か。サクラエビの生態に詳しい東海大海洋学部の非常勤講師で同大元教授の鈴木伸洋氏(65)に聞いた。(聞き手・石原颯)

 ■もっと自粛すべきだった

 今年の春漁はもっと自粛して取るべきだった。県桜えび漁業組合は、産卵場に禁漁区を設け、産卵間際の頭黒と呼ばれる親エビが増えたので少し早めに切り上げた。ただ、昨年の秋漁後に今年の春漁の推定資源量を算出したところ、約80トン、多くても100トンは上回らないという予想になった。推定値は現場の値と異なることも多く、あまり信用されないが、比較的当たっており、危うい取り方だったと思っている。

 頭黒が少ないときに漁をしたといっても、それは今頃になれば全て頭黒になる親エビ。資源が少ない中、それを取ってしまった。今回の春漁で産卵場を守っているので多少は生まれてくると思うが、秋漁と来年の春漁に何らかの影響を及ぼす可能性は高く、懸念される。

 環境の変動や濁り水の問題も一部はあると思う。過去には前年に3千トン取れていた翌年に数百トンしか取れない年もあり、調べてみると黒潮の大蛇行と関係があった。ただ、2年後ぐらいには元に戻る。ここ十数年は1千トンを行き来していたが、その間にそんなに大きな環境変動が何回も起きたとは考えにくく、環境の変動だけでは説明できない。私は取りすぎが主な原因だと主張している。

 秋漁は35ミリ以下の稚エビの漁獲を抑えるという規制で固定できる。それより大きいエビは産卵して死んでいくので、資源の増減には直結しない。一方、春漁は全て産卵前の親エビなので、春漁を抑えるのが資源を増やすための近道だ。私は少なくとも3~4年は春漁は今のような商業的な漁業はやめるべきだと考えている。魚影が濃い群れを狙うのではなく、全体の資源量を測る試験的な操業に切り替えるべきだ。取れる量は少なくなるが、それを流通させれば全く市場に出なくなるわけではない。

 まずは、この10年ほどの実績である1千トンまで回復させ、その後、規制的な努力をしながら最終的には漁獲量が安定する4千トンまで回復させていきたい。過去の数字を見ていくと4千トン台が取れたときは明らかに秋漁の方が多かった。ところが1千トン台になった頃から春漁の方が多くなった。秋漁で思うように取れなくなったので、春漁で産卵前のエビに漁獲圧をかけて取るようになったということだろう。4千トン台になれば自然と秋漁での漁獲量が増えてくるはずだ。そうすればサクラエビを増やし、維持させるためにはいい漁業形態になる。

 ■今ならできないことない

 サクラエビが日本で唯一取れるのは駿河湾だ。県民の宝だ。サクラエビがこんな状況になっていることを理解いただいて、県民からも支援をいただきたい。今、堪え忍ばなければいけない時期に来ている。サクラエビは一年資源なので回復も早い。今ならできないことはない。

 来年からは改正漁業法が施行されることも指摘しておきたい。これにより年間の漁獲可能量を農林水産大臣が指定する漁業になる。サクラエビがすぐ該当するかはわからないが、いつかは該当する。資源量を推定して、持続的に漁が行える漁獲量を決めることになる。国の推計とわれわれの推計がそんなに違うとは考えられず、今のような資源量で漁獲可能量といわれるだけのものが得られるのか。最悪、禁漁もあり得る。早急にこのような資源量の状態から脱出する必要があるのではないか。

                   ◇

【プロフィル】鈴木伸洋

 すずき・のぶひろ 昭和29年2月生まれ。日大院農学研究科博士後期課程を修了。農林水産省水産研究所室長などを経て、平成14年に東海大海洋学部の助教授、17年に教授となった。今年3月末で退官し、現在は同大で非常勤講師を務めるほか、国立研究開発法人水産研究教育機構に勤務する。専門は水族生理学。東京都世田谷区出身。

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