PR

地方 地方

茅ケ崎高齢者事故に有罪判決 増える免許自主返納

 ■県警「ねぎらい」取り組み 「安全運転お疲れさまでした」

 茅ケ崎市で昨年5月、赤信号で交差点に進入した車に歩行者らがはねられ、4人が死傷した事故の判決公判が今月、開かれ、横浜地裁は運転していた斉藤久美子被告(91)=同市=に有罪判決を言い渡した。近年、高齢者の運転する車の事故が多発する一方、県内で免許を自主返納する件数は、10年前と比べて約10倍に増えている。県警は返納者に対して「今まで安全運転お疲れさまでした」とねぎらいの声をかける取り組みをしている。(浅上あゆみ)

 車いすに乗って出廷した斉藤被告は今年1月の初公判で「家族から『年だから運転をやめたほうがいい』と言われていた。言う通りにしておけばよかった」と後悔の念を口にした。一連の公判のなかで、検察側は「赤信号を無視するという最も基本的な注意を怠ったことで招いた結果は重大」と述べ、横浜地裁も刑事責任の重さを指摘した。

 しかし、斉藤被告が遺族に謝罪文を送っていることや見舞金の提案をしていたことなどから、判決は禁錮3年、執行猶予5年となった。また、斉藤被告は免許取り消しとなったという。

 ◆「怖くなったから」

 先月も、東京・池袋で男性(87)が運転する乗用車が暴走し、母子2人が死亡、10人が負傷する事故が起きるなど、近年、高齢ドライバーによる痛ましい事故は多発している。県警運転免許課によると、「『最近の事故を知って、怖くなって運転免許証を返納しにきた』と話す方々は多い」という。

 県警の統計でも、平成21年中の自主返納数が2964件だったのに対し、25年には8611件、30年には2万9544件に達し、この10年でおよそ10倍に増えている。返納する理由としては、「運転の必要がない」が6割以上を占める一方で、「身体機能の低下を自覚したため」と答える人も約2割に上るという。

 ◆各署などで手続き

 県警によると、自主返納は運転免許センター(横浜市旭区)か県内の各署で手続きできる。いずれも平日に窓口で、また免許センターのみ日曜日も受け付けている。

 免許証を持参し、氏名や生年月日、住所など必要事項を記入した申請書を窓口に提出すれば、手続きは完了。委任状があれば、代理人が申請することも可能だ。また、返納の際に希望すれば、写真付きの身分証代わりとして使用できる「運転経歴証明書」を発行してもらうことができる。こちらは、免許センターなら即日、各署なら約10日で発行される。

 同課の鈴木利明課長代理は「何十年も運転をしてきた方々が、自ら返納されるのは“勇気がいる”大変な決断」と話し、課としても返納にやってきた高齢ドライバーに対して「今まで安全運転お疲れさまでした」と、ねぎらいの言葉をかけるよう、各署に指導しているという。

 ◆選択肢と向き合う

 県警関係者の一人は「生活もあるので、一概に一定の年齢で返納しろとは言えない。しかし、事故を起こすのが一番怖いこと」と話す。

 茅ケ崎市での事故当日、斉藤被告の長男は記者団の囲み取材に応じたが、表情は憔悴(しょうすい)し、指先は痛々しいまでに震えていた。こうした事故の一番の被害者はもちろん、巻き添えになった人々に違いないが、人生の終盤で「加害者」になる側にもさまざまな困難が立ちはだかる。

 10年で県内の自主返納件数は10倍-。少しでも運転に不安を感じている高齢ドライバーは、多くの人が選び始めたこの選択肢と改めて向き合ってみてはいかがだろう。

                   ◇

【用語解説】茅ケ崎高齢者事故

 昨年5月28日午前10時55分ごろ、茅ケ崎市元町の国道1号交差点で、乗用車が横断歩道付近にいた歩行者ら男女4人を次々とはね、うち女性1人が死亡した事故。車が赤信号で交差点に進入したとして、茅ケ崎署は同日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で、運転していた当時90歳だった無職の斉藤久美子被告を逮捕したが、2日後に釈放。横浜地検は同11月、同罪で斉藤被告を在宅起訴した。横浜地裁は今月、禁錮3年、執行猶予5年(求刑禁錮3年10月)の判決を言い渡した。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ