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米中貿易摩擦が九州の生産・輸出に影 日銀福岡支店、5月の景気判断据え置きも懸念

九州・沖縄の金融経済概況を発表する日銀福岡支店の宮下俊郎支店長(中央)ら
九州・沖縄の金融経済概況を発表する日銀福岡支店の宮下俊郎支店長(中央)ら

 ■業績押し下げ企業に警戒感

 日銀福岡支店は17日に発表した5月の九州・沖縄の金融経済概況で、景気判断を「緩やかに拡大している」とし、2カ月連続で据え置いた。ただ、今後の景気悪化のリスク要因として米中貿易摩擦の深刻化を挙げ、地場企業の生産や中国向け輸出への影響を懸念した。

 中国経済の減速や米中貿易摩擦などの影響で、生産と輸出について「総じてみると弱めの動きとなっている」と判断した。

 九州・沖縄の主要3業種のうち、自動車は生産・輸出とも堅調に推移していると分析した。一方で、電子部品についてはスマートフォンの販売不振による減少、生産用機械は半導体関連向けを中心に引き続き弱めの動きとなっているとした。

 米中貿易摩擦は報復関税の応酬で深刻化している。米国は、これまで対象外だったスマートフォンやノートパソコンも含めた「第4弾」の制裁措置も検討しており、最短で6月末にも発動可能となる見込みだ。

 日銀福岡支店の宮下俊郎支店長は「第4弾の品目は、九州で部材などが生産されているケースが相応にある。発動された場合の影響は避けられない。中国景気の悪化につながるリスクも高いので、影響は輸出全体や訪日旅行客に波及することが考えられる」と指摘した。

                   ◇

 深刻化する米中貿易摩擦が、九州・山口企業の業績に影を落としている。平成31年3月期決算では業績を押し下げる一因にもなっており、収束が見えない状況に、各社トップらは警戒感を抱いている。

 物流事業を展開する西日本鉄道は、昨年12月以降、日本から中国向けの貨物量が、前年同期に比べ2割落ちた。主に電子部品や半導体、スマートフォン関係の貨物で、昨年11月まで数量は伸びていたという。

 倉富純男社長は「米中の協議の流れ次第では厳しいものになる。中期目線では心配していないが、短期では苦しい時期が続くかもしれない」と語った。

 産業用ロボット大手の安川電機は、決算期を変更したため単純比較はできないが、中国で設備投資を控える動きがみられ、最終利益は参考値と比べ減益となった。

 TOTOも、中国で高級住宅市場が悪化したことで、温水洗浄便座「ウォシュレット」の販売が振るわず、減収減益となった。

 人口減少やマイナス金利政策の影響で厳しい経営環境が続く地銀にとっては、取引先企業のダメージが自行の業績悪化に直結する。

 31年度3月期決算で、貸し倒れに備える引当金など信用コストを積み増した九州・山口の地銀は21行中、15行と7割にも上った。

 豊和銀行(大分市)は、令和2年3月期の最終利益について、信用コストの増加を主因に前期比56・8%の減益と、厳しい予想をした。

 高橋信裕専務は「米中貿易摩擦を含めた景気の陰りを反映し、やや後退する可能性があると見込んだ」と説明した。販路開拓コンサルティングなどの取り組みで、企業の売り上げ支援に力を注ぐ。

 日銀福岡支店の宮下俊郎支店長は「中小企業向け(融資)を強化していく流れの中では、ある程度の信用コストを織り込みながら経営していくことが必要だ。リスクとリターンのバランスのとれた業務運営をより強化してもらいたい」と話す。 (九州総局 高瀬真由子)

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