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カリスマ経営から脱却、自立成長へ ハウステンボス社長交代 令和3年にも上場方針

今後の展望について説明するハウステンボス新社長の坂口克彦氏(右)と、現社長の沢田秀雄氏
今後の展望について説明するハウステンボス新社長の坂口克彦氏(右)と、現社長の沢田秀雄氏

 長崎県佐世保市のテーマパーク、ハウステンボス(HTB)の新社長に内定した最高人事責任者の坂口克彦氏(64)は15日、現社長の沢田秀雄氏(68)とともに施設内で記者会見した。坂口氏は「これまでのカリスマ経営はまねできない」と語り、親会社で沢田氏が会長兼社長を務める旅行大手、エイチ・アイ・エス(HIS)に頼らない会社組織を目指す考えを明らかにした。令和3年にも東京証券取引所第1部に株式上場させる方針も示した。(九州総局 高瀬真由子)

 「組織の知恵を生かす経営で、将来に向けて自立的な成長、発展を目指す」。坂口氏は記者会見でこう抱負を語った。

 株式上場に加え、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の実現も掲げた。インパクトのある大型イベントを打ち出し、伸び悩む入場者数の回復を図るとした。

 一方、沢田氏は、社長交代の理由について「そろそろ僕のアイデアも尽きてきた。徐々に減収減益になっており、新しい知恵とアイデアでやったほうがいい」と説明した。自身がHISを成長路線に戻すことに注力し、HTBに割く時間が短くなったことも背景にあると明かした。

 坂口氏は21日の臨時株主総会後に開く取締役会を経て社長に就く。9年にわたってHTBの経営を担い、業績をV字回復させた沢田氏は代表権のない会長に退くことになり、HTBは大きな転換点を迎える。

 ■試行錯誤の再建

 沢田氏が社長に就任した平成22年3月、HTBは閉園の瀬戸際にあった。4年の開業後は、巨大な設備が経営の重荷となり、一度も黒字を達成できなかった。入場者も伸び悩み、当時の支援企業が撤退を決めた。

 地元の佐世保市や、福岡経済界の要請を受け、HISが再建に乗り出した。テーマパーク運営の経験のない沢田氏にとっても試行錯誤の連続だった。

 入場料を安くしたが、客足は伸びなかった。経費削減のため目玉のチューリップの植え方を見直すと、「親会社が変わって、花が悪くなった」と、客からクレームが入った。

 失敗を繰り返し、長崎の西の果てに人を集めるには、日本一、世界一のイベントが不可欠と確信した。

 冬のイルミネーションを充実し、ユニークなアトラクションを矢継ぎ早に導入した。25年に創設した宝塚歌劇団出身者らで構成する専属歌劇団はコアなファンを獲得し、ロボットが接客する「変なホテル」は海外からも注目を集めた。

 沢田体制下のHTBは黒字決算を続け、27年度には、1年間の入場者数が15年ぶりに300万人を超えた。

 ■入場者減少続く

 ただ、その後は苦戦が続いた。28年に発生した熊本地震で入場者が落ち、翌年以降も回復しなかった。15日に発表した30年10月~31年3月の入場者数は、前年同期比6・5%減の約130万4千人に落ち込んだ。

 「マーケットからして、300万人は大きな壁だと思っている。人口が減る中、これを破るのは決して楽ではない」。沢田氏は記者会見でも、集客の難しさをにじませた。

 沢田体制の長期化で、ガバナンスも緩んだ。役員の入れ替わりが速く、企業風土を問題視する声も上がるようになった。

 HTBは、HISが株式の66・7%、残りを九州電力や西部ガスなど福岡経済界の5社が保有する。九州の観光産業を支えるHTBの行く末は、福岡財界関係者も注視する。

 HTBは、沢田氏の手腕によって再建を果たした。「カリスマ経営者」が去った後、持続可能な施設とするための方策が新体制に求められている。

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