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【令和に誕生】(1)気仙沼「鶴亀の湯・鶴亀食堂」 漁師町に銭湯と朝メシを

 漁師町に銭湯と朝メシを-。令和最初の夏、宮城県気仙沼市にトレーラー型のユニークな銭湯と食堂がオープンすることになった。平成23年の東日本大震災で公衆浴場を失った漁港周辺地域に、2年ぶりに憩いの場が戻ってくる。

 ◆長旅の疲れ癒やす場

 大小の漁船がひしめく同市の漁港。地元だけでなく、県外からも多くの船が着く。遠洋で長期間の漁を終えた漁師が陸に上がり、まず向かうのは銭湯だ。地元の漁師いわく「銭湯がなければ港町じゃねえ」。船内には備え付けの入浴スペースはあっても広くはなく、海水を利用するため決して快適とはいえないものが多いという。

 漁港周辺で唯一の銭湯が「亀の湯」だった。多くの漁師がここで長旅の疲れを癒やしてきた。だが、東日本大震災で被災。漁師や災害ボランティア、避難生活を続ける被災者のために営業を続けたが、同地区の防潮堤建設に伴うかさ上げ工事のため立ち退きを余儀なくされた。平成29年11月、131年の長い歴史に幕を閉じた。

 ◆復活へ女性が奮起

 地元の漁師を癒やしてきた「銭湯」の復活に向け、立ち上がったのが同市の女性たちだった。

 「気仙沼の魚の70%は県外の船が水揚げしているんです。懸命に漁をしている人たちに、手足を伸ばして真水の風呂に入って疲れをとってほしい」。プロジェクトを進める一般社団法人「歓迎プロデュース」メンバーの小野寺紀子さん(46)は力を込める。

 クラウドファンディングなどで資金を集め、トレーラーを2棟用意。先月、予定地に到着した。1棟はシャワーが8本、4人ほどが入れる浴槽を備えたもの。朝ご飯も食べてもらおうと、もう1棟では定食やうどん、そばなどを提供する予定だ。名前は「鶴亀の湯・鶴亀食堂」。縁起をかつごうと、「亀の湯」に「鶴」の1文字も加えた。

 ◆周辺活性化も目標

 小野寺さんは、漁師町を盛り上げようと活動する地元の女性からなる「気仙沼つばき会」に所属し、出航する漁船を見送るイベントや、漁師のかっこよさを伝えようと写真をふんだんに取り入れた漁師カレンダーの作成などにも取り組んできた。「街なかの経済は漁師のおかげで回っていたけど、市場周辺の生活圏は震災でなくなってしまった」と小野寺さん。被害が大きかった漁港周辺の活性化も目標の一つだ。

 銭湯の「番台さん」を担うのが、根岸えまさん(27)だ。東京都出身で、ボランティアが縁で大学卒業後に同市唐桑地区へ移住した。近所の人から野菜や魚をおすそわけされたり、いまではすっかり地域の一員だ。根岸さんは食堂にも立つ“看板娘”になる。「実感はまだないけど、来てよかったと思われる銭湯にしたい」と意気込む。

 オープンを目指す6月末は、同市のカツオの水揚げシーズンと重なる。「カツオ船と私たちと、どっちが早いかねえ」。2人はそう笑いながらも、準備は着々と進んでいるようだ。(千葉元)

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 明るいムードに包まれる中で「令和」が始まった。新時代を象徴するかのような新しい施設が、東北で誕生しようとしている。「令和元年」に完成が予定されている案件を紹介する。

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