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【たばこと健康】路上と屋内、受動喫煙防ぐには

 先月、私はポルトガルの首都リスボンに出張したが、驚いたのは石畳の歩道に散乱するたばこの吸い殻と歩行喫煙する人の多いことだった。歩道の歩きたばこには閉口したものの駅の入り口などには灰皿が設置され、駅構内、電車、ショッピングモールは日本と同様に禁煙だった。レストランも禁煙で、たばこの煙を気にすることなく気持ちよく食事ができた。

 逆に日本では路上禁煙の市町村は多いが、飲食店の禁煙化はあまり進んでいない。この違いは、なぜだろうか。日本におけるたばこ対策法制化の経緯を振り返ってみた。

 日本の路上禁煙は2002年、東京都千代田区の「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例」に始まり、たばこの吸い殻のポイ捨てや歩きたばこが禁止された。群馬県では14年に前橋市が「前橋市路上喫煙及びポイ捨ての防止に関する条例」を施行し、千代田通りの一部と銀座通りが、路上喫煙とポイ捨ての防止重点区域に指定された。同様の路上禁煙やポイ捨て禁止の条例が多くの市町村で施行されているが、これらは環境美化に重点を置いたもので、受動喫煙防止を目的とするものではなかった。

 02年に制定された健康増進法により、多数の人が利用する施設の管理者に受動喫煙防止の努力義務が課せられ、結果として学校や病院などの禁煙化が進展した。

 09年には神奈川県が「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」により対策を前進させ、公共的な室内空間を明確に禁煙にした。同様の条例は兵庫県などにも広がった。

 今年のラグビーワールドカップの試合会場となる東京都調布市では、昨年3月から、飲食店での受動喫煙防止のため「調布市受動喫煙ゼロの店登録事業」を実施している。

 2020年東京五輪・パラリンピック開催を機に昨年、健康増進法が改正され、飲食店も既存の小規模店を除き原則禁煙化されるなど、対策が充実した。東京都では昨年制定された「東京都受動喫煙防止条例」により、今年1月から施設管理者や喫煙者に受動喫煙防止配慮義務が課せられ、9月からは学校等への喫煙所設置は禁止され、飲食店の喫煙可否の店頭掲示などの施策が実施される。

 群馬県では06年11月から「群馬県禁煙施設認定制度」が実施され、多数が利用する施設を対象に群馬県が実地調査の上、認定している。昨年12月末現在、1419施設が群馬県のホームページに掲載されているが、市町村役場の禁煙認定施設は桐生市本庁舎だけで、それ以外の市町村役場と群馬県庁は認定施設となっていない。

 群馬県は喫煙率が全国都道府県のトップクラスに位置し、受動喫煙防止条例制定や市町村役場・県庁などの禁煙化も進んでいないが、何故だろうか。その原因を探り、効果的な受動喫煙や禁煙支援などの施策が実施できるよう、調査研究を進めるとともに県民の関心を高める活動も実施していきたい。

 (高崎健康福祉大学教授 東福寺幾夫)

                   ◇

 ◆タバコに関連した法制化の経緯

1999年 WHO総会で、たばこの規制に関する条約の政府間交渉開始を決定

2002年 6月、東京都千代田区が「安全で快適な生活環境の整備に関する条例」制定、10月施行。歩きたばこと吸い殻のポイ捨て禁止に。8月、健康増進法制定。健康増進は国民の責務で、多数が利用する施設管理者に受動喫煙防止対策をとる努力義務が有することなどを規定

 03年 WHO総会で「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」採択

 04年 日本が同条約に署名、批准し受諾書を国連に提出

 05年 2月、同条約が40カ国の受諾により発効

 09年 神奈川県が「受動喫煙防止条例」制定、公共的室内空間が禁煙に

 13年 前橋市が「路上喫煙及びポイ捨ての防止に関する条例」を制定、翌年4月施行。中心市街地の一部で路上喫煙とポイ捨てを禁止

 18年 東京都が「受動喫煙防止条例」を制定。国も健康増進法を改正、飲食店も一部例外を除き禁煙に。未成年者は喫煙区域への入室禁止に

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